2009年07月06日

KGBの恩返し

といっても、旧ソ連の国家保安委員会ぢゃなくて、虫の話。

   KGB=コウガイビル。

 我々はもう、奴らから逃れられない・・・THE KGB FILE
 (↑演劇エッセイスト、ウニタ モミイチさんの大いに笑えるページ。ただし、グロい生き物ダメな人はトラウマに注意。)

宇宙からの飛来生物を思わせる、その姿、
切り刻んでもそれぞれが一個体に再生する生命力などから
いつしかネット上ではそう呼ばれるようになった。

扁形動物・渦虫類・三岐腸類の、陸に棲(す)むプラナリア*類。
 (*プラナリア類の和名はウズムシ)

「泣く子も黙るKGB(カーゲーベー)」って点は共通している。

それがいたんですよ。KGBが。
ある雨上がりの夜の、アスファルトの上に。
キャラメル色のツヤツヤのヤツが。
T字型アタマの平たいヒモに、3本の茶色いストライプ。
長さは20センチくらい。

在来のミスジコウガイビルか、中国系のオオミスジコウガイビルの子ども。
オオミスジKGBは、1m超えの報告例も。。。( ゚Д゚)

舗装に水気を吸われて、苦しそうに這いずっていた。

お。。。このままだと干からびちゃう。とりあえず拾って植え込みの下にリリース。
(舗装道路でミミズを見付けたときに助けてしまう、いつものクセが。)
触った指はネバネバ生臭い (・・;
ま、いっか。もう危ないところに出て来ちゃダメだよ。

三筋笄(こうがい)蛭・・・笄とは、昔の日本女性が髷(まげ)に挿した、かんざしの一種で、大きな耳かきみたいな形をしたものをそう呼んだ。

平川いくをさんの人気本「へんないきもの」で紹介されて、最近は大分メジャーになった。
水木しげるさんや媒図かずをさんの漫画に出そうな「クロコウガイビル」もなかなかシュール。

別に「シャーーー!」とか言って人に喰いついたりするワケじゃない。
 <それじゃ怖すぎる(^_^;>
石や落ち葉の下を住み家にし、胴体の真ん中の口でミミズ・ナメクジ・カタツムリなどを捕食する。
地味な生き方だ(^^)
動きは遅いし、シッカリした歯はないし、消化器もシンプルだからね。
(ヒトの血を吸う方の、環形動物のヒルはむしろミミズやゴカイに近い。)

だけど遠くへ行きたい時は木にも登る。
粘液の糸で枝からブラ下がって、風でターザンよろしく離れた場所へ降りるんだって。
(粘液降下)
1mクラスのKGBに、上からピタッと貼り付かれたら、ホラーですねえ。
でも、コンクリになんぞ落ちると、1日でペラペラの紙テープに(TT)

生物学者・本川達雄さんが名著「ゾウの時間 ネズミの時間」の中で
ヒラムシはなぜ平たいか」という考察文を書かれていて面白い。
循環器系が未発達で肺も心臓もない扁形動物は、体をぶ厚くすると、
隅々まで酸素が回らないんだとか。
(ちなみに本川さんのご専門はウニ・ヒトデ・ナマコなど棘皮動物。)



約40年前の夏、近江八幡に遊びに行った際、従兄弟たちと琵琶湖で
水遊びしようという事になった。高度成長の最中ではあったが、琵琶湖の
水はまだ結構きれいで、「ウォータースポーツするぜ」みたいに気合入れて
ウエットに着替えたりしなくても、沿岸の人は日常的に水着だけで遊んでいた。

幼い管理人も親に連れられて、恐る恐る湖に足を踏み入れた。
そして浅瀬で小魚やエビと遊んでいるうち、変なものが目に入った。
薄茶色で紙みたいに薄っぺらの、長さ1センチ位の正体不明の生き物が
水中の石の上をゆーっくりゆーっくり動いているのである。
父に「これ何?」って聞いたが、「子供のころ見たことあるなー」
ぐらいのことしか分からなかった。
 その姿から今考えると、プラナリア(ナミウズムシ)か、その近縁のヒラムシの仲間だったようだ。
(でもヒラムシは普通、淡水にはいないよなあ。。。)
形はおなじみの三角アタマではなく、全体に楕円ぽかったので、理科室で見る
メジャーな養殖モノの「ナミウズムシ」とは違う種類か、単に縮んでいたのかも。
(プラナリア自体、メジャーじゃないか。)
谷川など、水のきれいな所でしか生きられないプラナリアの仲間が琵琶湖に
いたのが感慨深い。

 野生のプラナリアを最後に見たのは30年程前。
近所の園芸店で買ったスイレンの鉢の、水面の裏側を忍者みたいに5〜6匹がのんびり歩いていた。
おそらく比較的環境のいい関東近郊の、植木・花卉(かき)農家の方が、
沢筋の流れで栽培して出荷したのだろう。
切り刻んで再生する所を観察日記に付けちゃおうかなー、
などと考えてるうちに、いつの間にか姿を消した。
まるで溶けたかのように、死骸すら見つからなかった。

 陸生の扁形動物はまだ比較的汚染に強いようで、雨上がりには東京23区内の
住宅地でも、カタツムリ君やナメクジ君たちに混じって、たまーに、KGB君がその少しグロい姿を見せてくれる。
 それにしても、こんなにナイーブで、一見儚く見える彼らが、太古から絶えることなく命を伝えて来た事は驚愕だ。



「ジョキッ。ううう。。。ブチッ。ぐああ。。。」

「おーい、おヒルや。大丈夫かや?」

「いけません!私がキャラメルを作っているところを、決してのぞかないで下さい。」

はいはい、わかりました。でも恩返しには来なくていいからね(^^;
posted by Francisco at 01:21| Comment(0) | TrackBack(3) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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