暖冬のせいもあって、じきに小さな生き物たちが春の訪れを告げてくれるだろう。
今年もカエルたちのにぎやかなプロポーズ合戦が見られるだろうか。
というのも、世界的規模で生態系に大変な緊急事態が発生しているのだ。致死率90%以上の「ツボカビ病」が世界のカエルの間に広がっており、ついに日本にも上陸してしまった....
カエルなんぞは気色悪いから、居ない方がいーや。なんて思う人も多いんだろうな。
でももし拙文に目をとめてくれたなら、ちょっと立ち止まって読んで行ってもらえると嬉しい。
オゾン層の破壊で紫外線が増え、皮膚の未発達なカエル・サンショウウオ・イモリ等の両生類は急激に数を減らしている。そこに来てこの蔓延。もうカエルにとっちゃ、踏んだり蹴ったりだ。
これはカエルやサンショウウオに感染する皮膚病(ヒトを含め哺乳類はかからない)で、菌によって接触感染する。中米パナマでは、ツボカビが侵入してから僅か2ヶ月の間に地域のカエル集団が全滅したという。
一回土地に根付くと根絶はまず不可能との事で、オーストラリアでは国を挙げて国民にキャンペーンし、封じ込めに全力を上げている。
→カエル・ツボカビ病に関する専用リンク集
食物連鎖のバランスに大穴が開くことで、何が起こるか全く予想が付かない。
それにカエル君はすごい大食で、害虫を駆除してくれる重要な益獣なんだね。これがいなくなるってことは、農業が深刻な打撃を食らうかもしれない。
かつて「地中海ミバエ」っていうハエ1種類で世界の柑橘農家が生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされたのを忘れちゃいけない。
それに、流行はどうも人災っぽい。実験用や鑑賞魚のエサ用として流通するアフリカツメガエルや、食用にもなるアメリカウシガエルは、感染・保菌しても発病せず、キャリアとしてツボカビを媒介してしまう。人間がこれらを流通させたり、熱帯魚の水槽の水をその辺に廃棄したりする事が怪しいとみられている。
残念ながら今年に入り、関東地方のペット小売店経由で恐れていた事態が発覚てしまった。上陸を食い止められなかったのだ。
トリインフルエンザの陰に隠れて、いまいちメディアでの露出度が低いけど、国はこっちも本気にならないと相当ヤバイよこれは。カネ優先の発想のツケがこんな所にも来ている気がする。
あとは、私たちが自覚を持って封じ込めを徹底できるかどうかに今後がかかっているだろう。
→danbot様: カエルの大量死 【ツボカビ】
→人と街と自然様: ツボカビ症
このままでは脊椎動物のうち、両生類という大きなグループがごっそり、恐竜類と同じように地球上から消えるかも知れないのだ。
これはよく考えてみると背後からじんわりと、言い知れない恐怖に襲われてしまう。次は哺乳類、つまりヒトか… フィクションのホラー映画なんかの比ぢゃないな。
以下、普段気を付ければ出来るポイントを挙げる。詳しくは貼っておいたリンク集の方も見て欲しい。カエルを飼わなくても、知っていれば人にアドバイスできるから。
+ 発病した、または疑いのあるカエルは絶対に屋外に放さない。獣医と連携を取り、最期まで飼い主が看取る。
+ その飼育水をその辺に捨てない。
+ 病死したカエルの死体は焼却するか、ポリ袋(簡単に破れない丈夫なもの)に密閉し自治体の生ゴミに出す。絶対その辺に捨てない。かわいそうだけど、お墓を作って埋めるのはもってのほか。
+ 汚染地域(国)の野山を歩いた服やトレッキングブーツ等は、必ずよく洗って、
消毒してからから使う。(これすごく大切)
+ 輸入種の両生類は、一定の検査期間を置いて防疫上の安全が確認されたものしか飼わない。
+ 熱帯魚のエサ等でやむを得ずアフリカツメガエル等を入手する時は、必ずルートと検査の履歴を確かめて買う。
さてと。庭のヒキガエル君は元気に冬眠から目覚めてくれるかどうかねえ。
最後まで読んでくれてありがとう。