建築家・都市計画家の黒川紀章氏が2/21、東京都知事選への出馬の可能性を表明し、波紋を広げている。
→都知事選について
その立候補の条件が興味深い。
「石原都知事が立候補を辞退しない場合には、都知事選に立候補する。」というものだ....
各メディアの取材に応えて、
「石原さんは引き際。友人だからこそ花道を作ってあげたい。」との、刺激的な発言をしていた。
また「いまさらオリンピックを誘致するという時代ではない。呼ぶなら福岡だろう。」とも。
黒川氏は至ってまじめな人だ。ご縁があって、自分も氏の仕事ぶりや人となりを、身近に見聞きする機会があった。
年齢にも負けず、24時間寝る時間も削って自分で手を動かし、若いスタッフのお尻をたたいて元気付け、新しい生活のカタチを提案し続けている。
世界各地の政治家と渡り合って街づくりを主導して来た氏は、廻りがビビってたので自分で買って出てタリバンに向き合う事もあったとか。
アジアの隣人たちが日本をどう見ているかも肌で感じてよく理解していると思う。
欧米の出張所のような東京と、21世紀の地理上のハブになりうる福岡。オリンピック発言もそこから来ている。
要はほころびの目立って来た現・体制に新陳代謝を促したいんだろう。もし自分が知事になった場合でも1期でやめるそうだ。
石原氏の武勇伝は枚挙にいとまがないけど、スゴイのをひとつ。
昨年話題になった東京現代美術館での「カルティエ現代美術財財団コレクション展」で、4月20日のオープニング・レセプションに主賓の一人として呼ばれスピーチした内容は、耳を疑うものだった。もー、誰か止めてくれよ。
→アート資本主義様/060427:石原東京都知事がカルティエ現代美術財団を叱る!?
「現代芸術はガラクタ」「こんなものをコレクションするくらいなら日本人作家の作品を大量購入するべきだ」「西欧芸術よりも日本芸術のほうが優れている」などなどと、カルティエ財団の代表の面前でやっちゃったそうだ(赤面)。ウラでどういう圧力があったのかはわからないけど、ナゼか日本の新聞・テレビでは一切取り上げられていない。ヨーロッパでは下に書いた「フランス語」発言もあって、「またやっちゃったよ」的に笑われていたらしい。
2004年10月には首都大学東京の開学前の会合で「フランス語は数を勘定できない言葉だから国際語として失格している...」うんぬんとやってしまい、国際問題に発展しかかった。裁判沙汰は現在も進行中。やれやれ。
→石原都知事のフランス語発言に抗議する会
いやー、近代オリンピックを始めたクーベルタン男爵って、フランス人だと思うんですけど(^^;
オリンピック委員会の人ならみんなビクッと反応したんじゃないかなあ。
「あの人が知事の間は、TOKYOの線はないよね」って声が聞こえてきそうな気がする。
記者にマイクを向けられた石原氏は「ありがた迷惑だ。建築家なんか知事になったら、とんでもないことになるんじゃない?」
土建癒着型の金権政治と言いたいんだろうか。姉歯物件を量産すると言いたいんだろうか。
建築家(建築士)の仕事の本質は、建主と施工者の間でカネの利害と関係なく中立で物を言うことなんですよ。
黒川氏は環境と防災の観点から首都移転推進をとなえた辺りから石原氏に煙たがられるようになったらしい。
まあ結果はどうあれ、ここはひとつ首都の政局と行政の成り行きをしばらく見守ろうか。