2007年04月20日

見に行かないという選択

世界遺産の登録には「文化遺産」と「自然遺産」がある。
ガラパゴス諸島やギアナ高地は自然遺産の代表といえる最後の秘境だ。
いや、正確には「秘境だった」。

 →「世界遺産の光と影 Vol.1」
〜 ギアナ高地の悲鳴〜 (テレビ朝日「素敵な宇宙船地球号」過去ログ:060305)

1994年に自然遺産に登録されて以来、登山道ができたテーブルマウンテン:ロライマ山では、平地の植物が急速に入り込み、水系も汚染されて、既存の生態バランスが危機に瀕している。

 →ガラパゴスの生態系が危機 外来種や観光客の影響で(西日本新聞:070420)
国際自然保護連合(IUCN)と国連教育科学文化機関(ユネスコ)によると、1978年に自然遺産第1号になったガラパゴスだけど、定住者の持ち込んだイヌ・ネコ・ネズミ・ヤギなど外来動物、さらには観光客が持ち込んだ外来植物などが各地で繁殖、固有の生態系がボロボロになってるそうだ....

世界遺産に指定されると、そこはブランドになる。
大挙してツアー客が押し寄せ、よその土地の微生物や胞子・種子、昆虫や、ゴミや排泄物を残していく。
山奥や離島など、隔絶された環境で太古から固有の発展を遂げて来た生物相は、ガラス細工のようにもろい。
外界から繁殖力旺盛な動植物や余分な有機物が大量に持ち込まれれば、ひとたまりもなく消えてしまう。

特に危機的な所に限っては自然遺産に登録された場所には、あえて行かないっていう選択も大切だと思う。
(文化遺産とは違う、って認識が大事)
こういうことを書くと、観光資源として収入に結び付けたい地元の方たちに怒られるかもしれない。
都会の人間が「奥地」と呼ぶ土地で、自給自足的な生活から、否応なく貨幣経済に飲み込まれて行く先住民族の暮らしはどこも厳しい。
誰だってまともに食べ、子供に満足な教育を受けさせたいに決まってる。

でも、ブランド品のトレッキングブーツにツボカビの胞子を付けて、何千万年も命をつむいできたロライマ山のカエルを殺しに行かなくたっていいんじゃないの。
それぞれの地域をNPO・NGOを通してバックアップして、生活の自立を支援しながら、地元の若い人たちに世界遺産を守るレンジャーとして維持管理してもらい、大企業の悪巧みに目を光らせてもらう、とかね。
こういう仕事でなら、単なるODAの工事だけしてあとはシラネ、って手口で人間の誇りを傷つけられるのと違って、ふるさとの宝物を一人一人が支えるっていう充足感があると思う。

大手のNPOの中には見学ツアーをやったり、企業や官庁の利権の受け皿になってるような所もあるから、よく見極める必要があるけどね。

「秘境」と呼ばれるところを一通り回って、自分の目で確かめないと気がすまない「困ったちゃん」たちの存在。
悪いことは重なるもので、日本の団塊世代を含む先進諸国のベビーブーマーのリタイヤが始まった。
持て余したカネと時間の使いみちをカン違いし続ければ、影響はどんどんひどくなるだろう。

もっと「目に見えないもの」の大切さを考えてもいいんじゃないかな。
posted by Francisco at 13:01| Comment(0) | TrackBack(2) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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