同じ日、イラクでは民間人だけで30人以上の方が爆発物や銃弾の犠牲になっている(AFP)。
4/30にはあろうことか、中部ディヤラ州ハリスという町で、シーア派住民のお葬式の会場で自爆攻撃があり、30人以上が亡くなり、50人以上が負傷したそうだ。(ロイター)
各派対立は悪化するばかり。
自爆テロ被害者のお葬式での自爆テロが日常的に起きるとか。。。
米議会が5/1、イラク駐留米軍の撤退期限を盛った補正予算案をダメモトで出したけど、大統領が廃案にする予定。
こっちはこっちで防衛省も足並み合わせるために、特措法をまたいじくり回して、さらには改憲が待ちきれないので憲法解釈をいじり倒そう、っていう動き。
何だか無力感で昨日は更新する気が起こらなかった。
そして5/2ニュース到着。
ブッシュさんソッコーで拒否権発動、ゲイツ国防長官のおねだり通り、ほぼ廃案に決まっちゃった。
→ブッシュ大統領、イラク撤退期限法案に拒否権(asahi.com:070502)
だけど落ち込んでばかりいられない。
イラク報道の陰に隠されて、日本ではリリースされない重大ニュースがある....
「ダルフール紛争」を日本の報道機関は故意にシカトしてやしませんか?
世界で普通に報道されてるソースを国内配信するのがそんなに怖いのか。
→スーダン・ダルフール地方:「正しい問い、誤った答え」−プログラム副管理者へのインタビュー(国境なき医師団公式サイト:070423)
スーダン西部・ダルフール地方では、2003年から2004年にかけてスーダン政府主導の一般市民へのジェノサイド(大虐殺)が行われ、たくさんの難民が出た。
今までに40万人以上が殺害され、200万人が家を失いった。今も350万人以上の生存が危まれている。
1994年のルワンダの殺戮以来、戦後では人類史上最悪の事態が続いている。
イスラム勢力による「民族浄化」作戦でアフリカ系市民(非アラブ系)が大量虐殺・レイプ・略奪にさらされた。
最初は反政府ゲリラの壊滅が名目だったけど、当然のように報復の嵐からドロ沼化の一途をたどり、各派に分かれた勢力争いがまだ続いている。
特に政府から雇われた民兵組織「ジャンジャウィード」は、中世の「十字軍」のような無法状態になり、各地を恐怖に陥れている。(暴力に、元々法治も無法もないけど)
グチャグチャな戦時下で一般人と民兵の区別なんかつくわけないし、ルワンダや、ソ連崩壊直後のユーゴ紛争、そして1945年〜57年のチェジュ島の虐殺の時と似て、恐怖に駆られた隣人や肉親同士の密告も悲惨を極めるそうだ。
(イスラム系市民も人種的にはアフリカ系主体で、ヨーロッパ・コーカソイド系のアラブ人はほとんどいない)
虐殺の勃発当時アメリカは、イラクやパレスチナみたいな利益代表がいないスーダンになんぞ興味ないので、国連に対し、大規模な行動を禁止した。
見かねたAU(アフリカ連合)やEUの監視部隊が自己犠牲を払って出て行ったけれど、限られた装備や数千人規模の人員じゃ、フランス全土くらいの広さのあるダルフール地方を警護し切れるわけがない。
ここで国際社会が問題の芽を摘み取れなかったことが、ことの長期化と深刻化につながったのは明らかだ。
(当時国内では、NHKだけがスペシャル番組を組んで多角的な取材をしていた。あのころはNHKにもまだ骨があったなあ。)
さらに、数年の混乱を経て一旦下火になりかけたのに、去年5月の和平調印で皮肉にも紛争が蒸し返し。
利権地図をめぐって優位に立ちたい武装勢力各派が、われ先にと本格的な「戦国時代」に突入したからだ。
おぞましいことに、今も毎月200人から400人の方が亡くなっているそうだ。
飢餓と感染症については国連や各種援助団体の活動で、峠は越え始めてるらしいけれど、治安の悪化で奥地まで手が届かなくて孤立する人たちが救えない。
援助する人たちの方が捕まって命と引き換えに利用される、なんて事件が日常的に起きてる。
ブッシュ息子タンはと言えば、今になってスーダンに武力介入するつもりらしい。
イラク派兵が国内でたたかれ始めたから、軍需関連の圧力が強まってるせいか。
粘り強い交渉の努力なしに政府側をガツンとやれば、「ジャンジャウィード」が罪もない市民を倍返しの血祭りに上げるのは目に見えてる。
40年も内紛が続くソマリアに対してだって、その時々の"アメリカの国内情勢"に合せて手を出したり、引っ込めたりを繰り返した結果、収まるものも収まらなくなって、ついにはエチオピアまで巻き込まれて、いまだに戦争が続いている。
いったい誰を助けたいのか、注意して見てないと危険だ。
イラクで手一杯だし、今スグ「北」に武力介入するのは、ノドから手が出てるけど中国とロシアの手前、難しい。
制裁も解除の方向で2国間で「示談」にしちゃったし。
「ブッシュ後」も共和党が政権維持するにはまた新しい「テロ組織」を認定しなきゃいけないんだろう。
(ジッサイ日本なんか、自分の赤字国債を4割も買ってくれるような"カモ"として以外は眼中にない所に注意。)
改憲したり解釈を変えたりで、自衛官を犠牲覚悟で戦闘員として紛争地に送り込もうとしてるのはいったい誰のため?
戦火に追われて泣いてる子供たち? それとも。。。
よーく考えよう。
ダルフール関連の情報は実際には日本に刻々入って来てる。
でも、国内の新聞・TVにニュースが出てくることは、まったくと言っていいほど、ない。
そしてナゼか"ある日突然"に、「正義の為の派兵」が華々しくお披露目されるんだろう。
情報鎖国は思った以上に厳重になってますな。
特に「人権」と「国民生活の安全」にからむネタが集中的に伏せられてる感じ。
これじゃ世界の大部分の人の「ニポーンはチャイナの中のどの辺にあるの?」って認識は、とても変えられないな。
参院選では投票に行って、意思表示しなきゃね。自分自身を守るためにも。
ガセネタも多いWikipediaで、スーダン関連の項目は、真摯な書き手の方が多いらしく、参考になる。
→スーダン(Wikipedia)
→ダルフール紛争(Wikipedia)
080127追記:ダルフール紛争の経緯についてのWikipediaの記述が、
ここ数ヶ月の意図的な編集合戦によって、
すっかりブッシュ政権に有利な内容に書き直されてしまった。
保守の皮だけかぶった、米国追従派の仕業だろう。情けない話だ。
保存しておかなかったのが悔やまれる。