2007年05月07日

「美しい国・フランス」

フランス大統領選の決選投票は5/6、右派サルコジさんが左派ロワイヤルさんに勝って終了した。
サルコジさんは「不正入国・犯罪取締まり強化」「労働時間増加による経済効果」を旗印に保守層と財界の支持を引き出した。
弱者を切り捨ててでも経済を立て直すっていう政策は、確かに国全体としてはおカネを生むかもしれない。
当選演説でサルコジさんは「国家のアイデンティティーを取り戻したい。フランス人であることを誇れるようにしたい」と語ったとか。
「国家の」と言ってる辺りが、どこかの「美しい国づくり」と似て見えなくもない。
パリ・バスチーユで当選に不満な若い人達(たぶん貧困層)が車を100台以上燃やしちゃったり、手荒な抗議行動を起こして、ソッコー治安部隊に催涙弾や放水車で鎮圧されたそうだ。
リヨンでも約500人の抗議デモに催涙弾攻撃、ボルドーやマルセイユでも衝突発生。一晩で360台の車が燃え、270人が捕まった。
どひゃー(^^; 社会の転換点ではバスチーユ広場で打ち壊しが起きるのね。

サルコジ氏当選に反発 若者ら各地で投石や放火(asahi.com:070507)
車両360台放火、270人拘束 サルコジ氏当選に反発(asahi.com:070507)

亡命ハンガリー貴族の血を引き、28歳の若さででパリ近郊の街の市長になり、その後52歳の今日までバリバリに人脈を築いたそうだ。メディアの扱いにたけていて「タフな男」のイメージを作る達人らしい....

内務大臣時代の2005年の暴動事件の際に、移民地区の人たちに面と向かって「お前らは社会のクズ、ごろつきだ」って言ってましたな。
おまけに当選直後の演説では手のひら返して「置いてきぼりにされたと思う人がいないよう、改革します」なんてケンキョなコメントしたとか。
ま、すぐ豹変してサルコジ節が復活したらますますドコゾの知事さんとソックリだわ。

都知事さんも、これ以上フランスを侮辱・刺激しないことを祈る。
「フランス語は数も数えられないダメ言語だ」とか、
現代アート展のオープニングセレモニーで主催者(カルティエ財団)に面と向かって「こんな絵カスばっかじゃねえか」とか。
一大臣じゃなく大統領になった今、日本国民まで巻き込んで倍返しされる予感(^^;

(もっとも、あちらさんも「相撲はアタマ悪いスポーツ」なんてトンでもないこと言ってましたが)

一方、ロワイヤルさんは、「人権・平等」を重視して「最低賃金引上げ」「財政で面倒見てでも50万人の若者を雇用」「シラクさんが減らした教員数の回復」等を打ち出したけど、最終的に浮動票を取込み切れなかったみたいだ。
しかし、負けても前向き。6月の総選挙に向けて巻き返しの結束を呼びかけた。
「すべてのフランス人のために仕事をするよう望む」って注文のエールを送り、いさぎよくサルコジ氏を祝福するのも忘れない。

サルコジ政権では、シラクさん時代よりも外国人や非ヨーロッパ系市民への抑圧が強まり、貧富の差が拡がるだろう。
引退試合のトラブルの後、ひとりピッチに立ち尽くしてたジダンの、あの哀しい表情が急によみがえった。

だけど今や、人さまの国の選挙結果に一喜一憂してる場合じゃないよね。
状況が似てる、なんてカン違いしたら足元をすくわれる。
フランスの選挙にはこちらと決定的に違うことが一つあるんですねー。

 投票率が 84.63% という、ものすげー高率。

これなら負けた側の市民や議員だって、大統領にガンガン文句言えるし、その気持も飲み込んだ上で「やっぱり頑張ろうぜ」って思えるかもよ。
みんなでちゃんと参加して決めた結果がそうなったんだから。
「国政の方向は国民が決めます」っていう、強烈な意志を見せ付けられた感じ。なんかちょっと悔しい。

そういえばオーストリアは今度、選挙権を18歳から16歳に引き下げるんだってね。
16歳の人たちがそれについて行けるっていうのがすごい。
国民の政治意識の成熟度が前提にあればこそだね。
憲法改変法案だけのために、若いコ達の「政治的知識のなさ」につけ込んで年齢制限を下げるコソクなやり方とは根本的に違う。

この前、エリツィンさん追悼で、NHK深夜枠で現代史スペシャル「こうしてソ連邦は崩壊した」の再放送をやってた。
エリツィンさんたち3カ国の首脳がゴルバチョフさんを引きずり下ろして連邦が消滅した時に、どうやってモスクワで流血の大惨事が食い止められたかも淡々と語られていた。
軍の元高官の証言によれば、身体を張って戦車を停めようとした3人の民間人が轢かれて亡くなったとき、
市民が怒り狂って人垣を作り、戦車の列は当惑して上からの指示待ちのまま立ち往生。
結局「軍は国民を守る」というソ連の基本法(憲法)が兵士にも上層部にも歯止めになって、国の消滅が宣言される瞬間までそれ以上は市民に手出しできなかったんだそうだ。
同じ憲法をスターリン政権は「解釈」しまくって虐殺を繰り返してたわけだけど、憲法自体を変えて最後のブレーキを外しちゃったら、もうどうやっても国民の安全は守れない。
(岩井ジョニ男っぽく) あっ(><)ゞ 。。。いつの間にか日本の話になってますな。

もう時間がありません。
7月の参議員選挙は、とにかく右も左も関係なく、みんなで投票に行こう !
国民の意思が反映されたかさえも判らないなんて、まっぴらだってば。
posted by Francisco at 21:01| Comment(0) | TrackBack(3) | 日々雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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