最長老の現役建築家、ブラジルのオスカー・ニーマイヤー(Oscar Niemeyer)さんは99歳。
首都ブラジリアを殆ど一人で作っちゃったエネルギーのカタマリみたいな人だ。
今年12月、100歳の誕生日を迎える。国を挙げて彼をたたえる行事が行われるそうだ。
→世界の高齢者・ブラジル 建築の巨匠99歳なお現役(YOMIURI ONLINE・世界の高齢者:070508)
先日リオデジャネイロ近郊にオープンさせた大衆劇場の落成式が開かれた。
→【動画】今年100歳、現代建築の巨匠ニーマイヤー氏の最新作落成式 - ブラジル(AFP:070416)
草原に横たわる女性をイメージさせるような、美しい有機的なフォルムがなんとも未来的。
「シンプルな設計を心がけましたが、自分を抑えられず、結局人をびっくりさせるような建物になったのです」って。
いいねえ。このヤンチャさがたまらん。
会場には国民的英雄の一人で、社会派シンガーソングライターの、ジルベルト・ジル文化大臣の顔も見える。
欧米では建築家は尊敬される。
建築家という職能が法律でキチッと決まっている国も多く、耐震偽装するようなレベルの低い人間は初めから入り込めない。
それを選ぶ施主の目線が違っている。
『安けりゃいい』『返済が済むまで倒れなきゃいい』で、いい建築が生まれるわけがない。
日本で新しいプロジェクトといえば、工事費・デベロッパー・建設会社がプレス発表されることはあっても、設計者の名前に触れられることはまずない。
名前が出るのは事件があった時だけ。
工事費に較べて設計料なんてたかが知れてるからシカトされるのだ。
建築の価値の大部分を決めるのは建築家であるにもかかわらず。
「インテリ」でない我々一般国民が文化を受容する水準に関しては、日本とブラジルの間には大きな落差があると思う。
姉歯は愚かだったが、これからは施主さんの方のレベルも問われる社会にしなきゃね。
グチはさておき。
「自分が造りたいものだけを造っている。」
口で言うのはカンタンだけど、実行するのにはハンパじゃない根性と勇気が要る。
「若者と同じ好奇心を持ち、自分を年寄りだとは思わない。」
「40歳のように考え、行動する。」
これがニーマイヤーさんの若さの秘訣みたいだ。
現在のブラジルは、彼のような経済的成功者じゃない、持たざる者にとっては決してやさしい国とは言えないだろう。
でも大親友のキューバのカストロ議長をたたえるモニュメントを作ってあげ、もらった葉巻を楽しんでるんだとか。ココロは今もヘミングウェイなんだね。低い大衆目線は健在だ。
奥様を亡くして、去年再婚されたばかり(!)とか。
どうかこれからもお元気で、人びとに感動を届け続けてください。