2007年05月18日

生き残るために・6 いま起きていること

こ、怖すぎ。。。
政治の不穏な動きに気を取られてた陰で、温暖化はとんでもない勢いになり始めてた。

2006temperature.jpg

 →温暖化が進行する地球(Technobahn:070514)

新聞もテレビも一番大事なことは何も伝えてくれない。これを情報鎖国と言わずして何て言うんだよ。
NASAによると、1951年-1980年の地表温度の平均値と比べて2006年がどうなったか。
北半球、特に北極圏が激ヤバだ。北極付近は4℃近くも上がっちゃった。
白い氷が解けると北極海の海面がむき出しになって太陽熱をグッと吸いやすくなる。
そのせいでアルベド(地球表面全体の反射率)もグッと下がって温暖化が加速している。

厚さ3kmの氷に隠されて地表の温度上昇が分かりにくい南極も、実は大変なことになってる。
 →NASA、南極で大規模な積雪の融解を発見・総面積は米カリフォルニア州に匹敵(Technobahn:070516)

物理的な面で見ても気候の異常はもっともっとひどくなるだろう。
海辺の標高が低い都市や、小さな島国は、嵐や津波のたびに今以上の打撃を受けるだろう。
ちょっと長めの記事になるけど、とても大事なことなのでぜひ最後まで目を通してください....



今月初め、国連気候変動政府間パネル(IPCC)は「30年以内にCO2排出量が減少に転じれば温暖化の最悪の事態は避けられる」って報告書を採択したけど、英・ブリストル大等のヨーロッパの研究チームによると、それじゃ全然間に合わないそうだ。

気候変動はもはや”臨界点”を超え、それに伴う乾燥や高温自体が大気中のCO2濃度をしぜんに高める段階に突入したのかも。
21世紀に入って大気中のCO2濃度は急上昇していて、最近の5年のうち4年の異例の高濃度は、化石燃料燃焼による排出増加だけじゃ、つじつまが合わない。
森林火災やエル・ニーニョなどの天候事象をあわせて考えても一部しか説明できない。
土壌や樹木を含む植物が様々な条件下でどう振舞うかシミュレーションしたら、
最近のCO2濃度の急上昇は、高温・乾燥で樹木の能力が衰えて、人間の出す炭素を再吸収出来ないのが原因らしい。
この効果はすさまじくて、みんなが頑張ってる炭素排出の削減分がそれでチャラになるだろう、とも。

 →最近の大気中CO2濃度急上昇は高温による植物の炭素吸収減少のためー英国の研究(農業情報研究所様:070514)

   全然ダメじゃん。


加熱する一方のバイオ燃料ビジネスと、ひっぱくする食糧事情も、終末に向かってラストスパートを始めようとしている。


英国の熱帯雨林科学者団体・グローバル・キャノピー・プログラム(GCP)の5/14の報告によれば、熱帯雨林破壊はクルマ+飛行機+工場を抜いて、エネルギー部門に次ぐ第二の温室効果ガス排出源となった。
温暖化を防ごうとするならばバイオ燃料、CO2分離・閉じ込め、次世代発電所などへの大量投資はおかど違い。
そんなカネがあったら貧しい国に森林焼き払いを止める状況を作ってあげなきゃ本末転倒だと言う。
 →気候変動との戦い 新技術開発の代わりに熱帯林破壊防止がカギー雨林科学者団体(農業情報研究所様:070515)

ブラジル、インドネシア、コンゴなどでの森林破壊を止めるのが、最も迅速に、かつ最も安上がりな対策だ。

森林はCO2吸収源としか考えられてこなかったのは片手落ち。今後4年だけの熱帯雨林破壊でも、2025年までに空を飛ぶ全ての飛行機よりもCO2を排出するんだって。
必要なのは環境ビジネスよりも、森林破壊を食い止める「政治的意思」「執行のシステム」そして、「切るよりも生かした方が樹木の価値が高くなるようにする」経済的な誘導だ。

世間でやってることと、全く逆じゃん。いったいどーなってるの?


カネになるバイオ燃料ブームが食糧と競合することを、ようやくマスコミも盛んに取り上げ始めた。

日経は、
『CO2を吸収した植物を原料にするわけだから、燃やしても大気のCO2増減は差し引きゼロ(カーボン・ニュートラル)になるはずだけど、自動車用燃料としてエタノールの需要が、原料となる穀物や農作物の相場に影響し、結局食糧価格を上昇させる。
それじゃなくてもヤバイ、世界の食糧確保がますます激ヤバになって来てる。
持続可能な社会の技術としては、食糧と競合しない稲わらや建築廃材などの廃棄物から生産する、バイオ燃料の開発を推進すべきだろう。ワザワザ石油を使って輸送しなくても言いように、生産地の近くで消費するモデルがいい。』

って、一見優等生発言だけど、じゃ、食べ物以外で作ればいいかって言うと、そうとばかりも言えない。

 →マスコミにも広がる食料と競合するバイオ燃料への疑念 が、食料と競合しなければよい?(農業情報研究所様:070514)

ワラやトウモロコシの茎から作るバイオエタノールは、発酵時のエネルギーは少ないけど、蒸留・精製過程では穀物や砂糖作物の場合より大量のエネルギーを使いがちだし、やりすぎれば土壌浸食で農地にダメージを与え、かえって温暖化の加速要因にもなりかねないそうだ。
浅知恵じゃカンタンには追いつかないね。


「遺伝子プール」って考え方がある。
生物集団が持つ、遺伝形質の種類の総計を指すんだけど、これが豊かなほどその集団は絶滅しにくい。
生命圏全体の遺伝子プール、動物界の遺伝子プール、ある生物種の遺伝子プール、という風に。


いま、世界のバナナとトウモロコシの遺伝子プール自体が枯渇している。

 →バナナとトウモロコシの遺伝資源が消滅しつつある 食料供給への脅威(農業情報研究所様:060516)

日本では果物のバナナも、熱帯諸国の大部分では「ご飯」だ。甘くない料理用品種が実は世界の主流だから。
バナナの遺伝的基盤である、インドの野生種と、伝統的栽培種が消滅寸前。
世界中の八百屋さんに並ぶバナナは全部「キャベンディッシュ種」で、その遺伝的ルートはインドの野生種。
そのキャベンディシュが、葉に寄生する「ブラックシガトカ菌病」の蔓延で危機的状況。
菌に抵抗性を持つ野生種からハイブリッド種を開発するしかないけど、インドの森林破壊のせいでみんな消えた。
地球上最後の一株がカルカッタの植物園にあるだけ。これが枯れたら食用バナナの生産に明日はない。

近代品種はタネができず、枝を切ってクローン栽培するから開発は手間がかかり、時間との勝負になってる。
結局、人間が植物から「性」という大切な命の営みを奪ったツケが遺伝子プールの枯渇になって、はね返って来たんだね。
日本のソメイヨシノと同じことが、大きなスケールで起きてる。
どの株もほとんど一緒のDNAで出来てたら、何かあったら全滅だ。

 →ウガンダ 耐病性GMバナナの圃場試験へ 将来はアフリカ諸国に技術移転(農業情報研究所様:070516)

ウガンダの試験結果は5-10年後だって。間に合うことを祈ろう。
遺伝子組み換え技術はこういう所にこそ使うべきなんだよ。
世界の研究者よ、頑張れ(;。;)!!


 追記:単一のソースの引き写しで、調査が足りなかったので補足します。
 食用バナナの全てがキャベンディッシュ系だけというのではありませんでした。
 食べられるバナナの原種は「モサ・アクミナータ」と「モサ・バルビシアーナ」という2つの野生種で、
 アクミナータから生まれたキャベンディッシュは、主に生食のデザート用として国際取引される
 品種のほとんどを占めるということです。

 生で食べない調理用の青バナナを一般に「プランテン」と呼んでデザートバナナと区別し、
 これはアクミナータとバルビシアーナの交雑から生まれ、硬いので生食できません。
 東南アジアの熱帯雨林地域の料理でよく見るのはこのタイプだそうです。
 (プランテンはシガトカ病にならないのか、現在勉強中です。分かったら追記します。)
 タンザニア辺りではキャベンディッシュと同じ血統のアクミナータ系を料理する地域も多いそうです。
 そこで病気が蔓延すれば収入の柱である輸出用作物と、
 国内消費のご飯用の作物がダブルパンチを受けてしまうのでしょうか。

  ここの情報量はすごいです→「バナナの足」研究会様

 中途半端な書き込み申し訳ありませんでしたm(__);m



トウモロコシも「遺伝的メルトダウン」に直面。
世界の遺伝子銀行が危機的状況。間違った貯蔵のために25万品種の種子ストックのうち、半分が死んじゃったとか。

トウモロコシの高い生産性を維持し、雑草・害虫・病気から守るには、品種間のコンスタントな交配が必要なので、いろんな遺伝子の品種を各国政府と国際機関の遺伝子銀行の冷凍庫にしまってる。
ところが、半分は貯蔵前に適切に乾燥されなかったり、停電で冷凍設備がダウンしたときに傷んじゃった。


この二つの話題だけ見ても、世界の食糧供給に大変な事が起ころうとしているのが分かるよね。

見かねたノルウェー政府が「自腹」で、離島の氷結山地の地下深くに、地球の農業多様性の保険として200万品種の種子の貯蔵所をを計画している。
オープンしたらどこの国にでも使わせてくれるそうだ。
核戦争・小遊星の影響・テロ攻撃・気候変動・海面上昇などの脅威から世界の食料供給を守るための、現代版「ノアの箱舟」。
温暖化ガスの削減で悪役を買って出てギャーギャー言ってくれる事といい、地域紛争の仲裁といい、北欧諸国には頭が上がらない。



原発も当面のツナギと考えて、だんだん縮小させないと、地球上にたまる核廃棄物や放射性物質のリスクが大きすぎる。
核施設は、どんなに密閉したつもりでも、必ず一定の量の放射性物質が漏れるんだよ。
原子のツブは、人間が作るどんな扉のすき間より小さいんだから。
単に原子力ビジネスを肥大化させるために、庶民をカン違いさせて「オール電化住宅」を華々しくやるなら、ムダな電気を減らす努力のほうが先でしょ。いま現実に電気は足りてるんだから。

「戦争して儲けたい」「原発増やして儲けたい」って、時代と逆行する方向にばっかりエネルギー使ってる、どっかの国のエライさんたちは、ちょっとはアタマ冷やしてもらいたいね。
永田町が放射能漬けになって海に沈む前に。

小さな地球の上で、全てはつながっている。誰も逃げられない。
新しいニュースを知るたびに目の前が真っ暗になる管理人だけれど、希望を捨てたくはない。

電車やバスですむ時にクルマに乗らない。
スイッチをこまめに消すだけでもいい。
選挙では環境に配慮しない人には投票しない(これ大事)。

自分のできる事を考えてみよう。

最後まで読んで下さってありがとうございます。



豆知識(070519追記):沖縄・辺野古沖のサンゴ礁が米軍基地拡張で破壊されようとしているけど、サンゴは魚の棲みかになるだけじゃなく、CO2吸収にもすごく役に立ってるんだよ。
 サンゴは体の中に「褐藻(かっそう)」っていう植物プランクトンを共生させて、光合成でできる栄養をもらって生きてる。
さらには、珊瑚が大きく成長する時に伸びていく骨格は炭酸カルシウム(石灰)だから、そこでもCO2を吸収する。

 山口県の秋吉台地や、中国の桂林など、世界中の鍾乳洞があるような石灰岩の地層は、大昔サンゴ礁だったところが地上に隆起して出来たんだよ。
 つまり、サンゴは大気成分のバランスを保つ上で、すごい量の貢献をしてると言うこと。
posted by Francisco at 08:59| Comment(2) | TrackBack(1) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ノルウェー政府はそんなにお人好しではないですよ。
他国から種子が欲しいと言ってきたら、その時にビジネスを
おこなうつもりなんだと思います。そのためにわざわざ自腹
で大掛かりな施設を作るのだと思います。

貴重な種子はたった1つでも、計り知れない程の金銭的な価
値が出てきます。ある意味、究極の高利益ビジネスです。
Posted by 妄想竹 at 2007年09月24日 00:41
妄想竹様
コメントありがとうございます。
おっしゃる通りかもしれませんね。ウームとうなってしまいました。
そして逆に、日本が目指す「シッカリ者の商人」への道のヒントが
ここにあるのではないか、とも感じました。
アメリカの属国になって、自分の首を絞め続けるのではなく、
自分の足で立って、ちゃっかり生き残るヒントが。
よろしかったらまた遊びにいらして下さいね。
Posted by Francisco at 2007年09月27日 08:53
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トウモロコシは 食料か燃料か
Excerpt: バイオエタノールは環境に優しいと言われますが、人には、優しくないようです。 植物
Weblog: 竹林救援協会  竹は資源
Tracked: 2007-05-19 01:50