2007年12月13日

風の谷から

バリ島で開催中のCOP13(国連気候変動枠組み条約第13回締約国会議)で、
ポスト京都議定書の世界をどうやったらいいか、駄々っ子アメリカを囲んで
各国の思惑が世界中に渦巻いてますねえ。

そのウラで日米中はしっかりスクラム組んで、
「温暖化なんざ知ったこっちゃないが、とにかく原子力発電所でカネ儲けでい!」
ってノリで、アジア各地に数え切れないほどの原発を建てようとしている今日この頃。

そんなため息混じりの世の中に、一筋の光。おおお。
米国ポチのブレア前首相をクビにしたイギリスから、刺激的なニュースが。

イギリス沖合に7000基の風力発電タービンを設置する計画が進行中(GIGAZINE様:071212)

7000基もの風車を沖合に設置して、33ギガワットの能力を確保、
2020年までにイギリスの全家庭で使われる電力をカバーするんだとか。
ガセネタじゃなく、ジョン・ハットン・ビジネス/企業/規制改革大臣が表明。

Wind turbines 'could fuel all homes by 2020'(Daily Mail:071211)

この洋上風力発電所で、「2020年までに20%を再生可能エネルギーに」
という厳しいEU目標を達成する計画。

イギリスの「影の内閣」の通産・貿易相といわれる、保守党のアラン・ダンカン議員も
BBCのインタビューで言ってるそうだ。

「我が国は島国ですから、風ならいくらでもあります。」
「我々は洋上での発電の可能性を利用すべきなのです。クリーンで安全なのですから。」
ダンカンさんはゲイである事をカミングアウトして正々堂々と戦ってる事でも有名。

一にも二にも、まず節電。

そして「バイオ燃料ビジネス」でも「原発利権」でもなくて、太陽と風の恵み。

森を切って泥炭地を焼いて放射能撒き散らして、何が環境対策だと言いたい。

海洋環境への影響の抑制、発電設備の建設・保守の莫大なコストをどうやって支えるのか、
電気がバカ高くならないように財政の力でコントロールできるのか、
など課題は多そうだけど、まず夢の大風呂敷を広げて、国民を鼓舞するのが大事。

悪口いうのはカンタンだ。口に出しただけでもエライと思う。
数十年後に石油が枯渇するのは、子供だって全員知ってる。
グリーンピースも記事の中で言ってるけど、
勇気を出してみんなが発想を転換すれば、原発減らせるかもしれないよ。
子孫が可愛かったら、まずやってみなって。これ大事でしょ。

壁にぶつかったら国際協力で乗り越える。
そうすりゃ技術の国、日本の出番じゃないの。
尊敬されるよ。世界中から。

以上、一足早い「風の谷」からの便りでした。
ナウシカの世界では残念ながら核戦争が起こってしまいましたが。。。


追記:12/12、バリ島で会見した小野寺副外相は、
「来年の洞爺湖サミット議長国として、ロードマップの実現に向けて役割を果たしていく!」
って日本国内向けに、オオミエ切ったそうだね。
  ↓
どの口が言ってんだか。。。
会議の現場では世界中にヒンシュク買ってますけど。どーフォローすんのよ ヽ(`д´)ノ

  COP13 数値目標削除を日本が支持(北海道新聞:071213)

 もいっちょ  日本「原子力 対象に」
          COP13バリ会議 クリーン開発メカニズム(京都新聞:071206)


『うちゅくちい星ちゅくり』って、まだやってたんだ。。。

「続きを読む」に各紙の記事を貼っときます。
Daily Mailは原文ママですが(^^;

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<引用開始>

Wind turbines 'could fuel all homes by 2020'
by DAVID DERBYSHIRE
Last updated at 08:11am on 11th December 2007

Plans to build around 7,000 wind turbines off the coast of Britain are to be unveiled by the Government.

The offshore wind farms would generate enough electricity for every home in the UK by 2020, John Hutton, the Secretary of State for Business, will announce.

He conceded yesterday that the turbines would "change our coastline" but claimed they would ensure the UK played its part in combating climate change.

The plans would make the UK's wind industry twice the size of any other country's. By 2020, it could be producing 33 gigawatts of electricity.

Offshore wind farms currently produce two gigawatts - enough for 1.5 million homes.

The Government says it wants to meet the EU target of generating 20 per cent of energy by renewable sources by 2020.

"The UK has some of the best offshore wind resource in the world, a long history of design, installation and operational expertise in the offshore environment and the skills and manufacturing capability to transfer to this exciting new sector," he will tell a conference in Berlin.

The proposals were backed by the Conservatives.

Alan Duncan MP told the BBC: "We're an island nation. There's a lot of wind around."

He added: "We should use that offshore capacity for generating electricity that's clean and secure."

Wind turbines have proved to be controversial onshore and offshore. On land there have been complaints that they are a blot on some of Britain's best loved, and most dramatic, landscapes, while at sea there have been concerns about their impact on shipping, fishing and birds. The Government's plans would mean a turbine for every half mile of coast.

However, Nick Rau, of Friends of the Earth, said: "The potential power that could be generated by this industry is enormous. Making Britain a world leader in this form of energy will create jobs, boost the economy and help put Britain at the forefront in the battle to combat climate change."

Greenpeace executive director John Sauven said: "Hutton is proposing nothing less than a wind energy revolution, but it won't become a reality on the back of a speech.

"If we are finally to exploit the massive energy resources we have available on this windy island, there will now need to be a revolution in thinking in Whitehall, where the energy dinosaurs have prevailed for too long.

"We need the Government to guarantee premium prices for clean electricity so industry can take risks to get tens of thousands of turbines built and installed out at sea.

"And Labour needs to drop its obsession with nuclear power, which could only ever reduce emissions by about four per cent."

One gigawatt of electricity can power around 750,000 homes.

<引用おわり>


COP13 数値目標削除を日本が支持(北海道新聞:071213)

<引用開始>
 【ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)12日岩倉隆夫】国連気候変動枠組み条約の第十三回締約国会議(COP13)で焦点の「バリ・ロードマップ(行程表)」に関し、新草案に明記された温室効果ガス排出削減の数値目標を、削除するよう求める一部の国の提案を日本が支持していることが十二日分かった。十三日の事務レベル協議に第三次草案が提示される。

 一方、小野寺五典外務副大臣は同日「主要排出国がともに同意できる内容であれば、日本も協力するべきだ。主要排出国への圧力は高まっている」とバリ島で記者団に述べた。欧州連合(EU)が強硬に数値目標の明記を主張しており、情勢は流動的だ。

 数値目標については、日本と米国、カナダなどが「次期枠組みの交渉結果を予見させるような数値は受け入れられない」とこれまでも主張。中国やインドは先進国の削減目標には賛成する一方、自らの削減義務につながりかねない世界全体の長期目標に反対しているもようだ。

 これに関連し、鴨下環境相は同日の閣僚会合の演説で「ロードマップに合意し、次期枠組みづくりの国際交渉をスタートさせることが最も重要。これに力を注ぐべきだ」と話し、数値目標の明記をけん制した。
<引用おわり>


日本「原子力 対象に」
COP13バリ会議 クリーン開発メカニズム(京都新聞:071206)


<引用開始>
 【ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)6日社会報道部】気候変動枠組み条約第13回締約国会議(COP13バリ会議)で、先進国が途上国の温暖化対策を支援して自国の排出削減に換算する枠組みに関連して、日本が「原子力発電を認めるべき」と主張し、核廃棄物の安全性だけでなく、核不拡散の観点からも問題が多いと批判を受けている。

 ■安全性不透明や核不拡散で問題 各国から批判

 「クリーン開発メカニズム(CDM)」と呼ばれる枠組みで、先進国が途上国の排出削減事業に資金や技術を提供し、そこで達成した排出量を自国の削減分にカウントする仕組み。

 日本は6日までの交渉で「CDMに原子力エネルギーが対象として入っていないのは問題だ」と主張し、将来的に支援の対象とするよう求めた。これに対して、欧州連合(EU)や一部の途上国からは「核廃棄物の処理コストや安全性が不透明で、温暖化対策としては認めがたい」といった批判が相次いだ。また、環境保護団体からは「核拡散防止の観点からも原発輸出は問題が多い」と反発が出ている。

 日本は、安倍晋三前首相が今年5月に打ち出したビジョン「美しい星へのいざない」で、途上国への原発支援を打ち出している。今回の日本の主張はこれに沿ったものだが、国際社会で受け入れられるのは難しそうだ。

 CDMをめぐっては、2001年の締約国会議で採択された「マラケシュ合意」で、京都議定書の排出削減期間(2008年−12年)では原発を認めないことで各国が一致している。
<引用おわり>
posted by Francisco at 09:05| Comment(2) | TrackBack(2) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 英保守党はキャメロン党首以下,最近とみに環境への傾斜を強めていますね.環境に冷淡な政党は英国ではもうやって行けないという判断があるのでしょう.保守党のシンボル色は青だそうですが,「青は緑になれるか?」とBBCは冷やかしています.
Posted by Ladybird at 2007年12月24日 10:28
Ladybird様

レスが遅くなってしまい、失礼致しました。
保守党の対応能力は未知数としても、
シビリアンコントロールが確実に効いている現状は
大いに日本も見習わなくてはなりませんね。

イギリスも、19世紀には世襲・金権体質の悲惨な情況から
政治腐敗防止法を制定するまで100年かかったのですから、
日本も少しづつ国民が目覚めて行くしかないのでしょう。
まず必要なのはは、国民が選挙を完全に掌握することですね。
Posted by Francisco at 2007年12月28日 18:25
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