2007年12月26日

「京都」の名が泣いている。

政府は12/24に出した2008年度政府予算案に、
洞爺湖サミットでカッコよく見せるための農水省関係予算、
『日本型バイオ燃料生産拡大対策』を約80億円盛り込んだ。

農水省:平成20年度農林水産予算主要施策別概算決定の概要
  V 地球的視野に立った資源・環境対策の推進(071224)


 「地球環境問題への積極的貢献のため」

 「自給率の低い日本だから、食べられない稲ワラや間伐材等を
  バイオマスとして有効活用、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大をガンバる」

のだそうだ。
確かに一見 「うちゅくちい星ちゅくり(byしんぞう)」 。

政策目標としては、2030年頃に600万キロリットルのエタノール生産を目指し、
そのうち180〜200万キロリットルは草本系(稲ワラ、麦ワラ等)から作ると。

農業情報研究所の北林寿信様が、早速この対策の欺瞞を指摘されている。
08年政府予算案 バイオ燃料生産に稲藁全部?
  その上大量の堆肥にも!(農業情報研究所様:071224)


目を通して、カラダの力が一気に抜けた。
農業情報研究所様、座布団10枚です!

○180万―200万klのエタノールを作るのに必要な草本系原料(※)は857万トンから952万トン。
 (算出式は上記農業情報研究所様のリンク参照)
 この大部分は稲ワラが占める。

○農水省はポスト京都議定書にもう一つの目玉、「農地でカーボンニュートラル」を盛り込むつもり。
 12/12の同省試算では、全国の水田に10e当たり1トン、畑に同1.5トンの堆肥を投入すれば、
 京都議定書による日本の温室効果ガス削減目標の1割、年間220万3000トンの炭素を固定できると。
 (化学肥料の高騰具合にもよるけど、生活ギリギリの農家の方は対応できないだろが)

○一方、現実の田んぼと畑にそれぞれ10アール当たり1トン、1.5トンの堆肥を使うには
 水田253万haで2,530万トン、畑212万haで3.150万トン、計5,680万トンが要る。(2007年の農地面積)
 堆肥ワラ原料のメイン、稲非食部は、ワラだけでなく、もみ、くず米を含めても1,469万トン(2004年)。
 麦非食部を足しても1,700万トン弱。

        ワッケ   ワッカ      ラン
        ∧_∧   ∧_∧    ∧_∧
       ( ・∀・)  ( ・∀・)   ( ・∀・)
あ、それ ⊂ ⊂  )  ( U  つ  ⊂__へ つ  っと。
       ( ( (    ) ) )     (_)|
       (_(_)  (__)_)    彡(__)

約6,500万トンのワラ等が必要なところに、原料が約1,700万トンしか獲れない。
つまり、国産バイオエタノールと国産堆肥を農水省の政策通り廻して行くには、
国産のワラが必要量の1/3にも満たない。
ウッドチップなんかそのまんまじゃ堆肥になんねーしな。。。(下記・豆知識参照)
さすがにアジア中からワラを輸入する、なんて出来ないだろうし。

ハナっから整合性の破綻してる「予算取りのための予算」のために、
またミスミス血税80億円がドブに捨てられる。
一体、何に使うんだか。。。

みんなのカネは、机上の数字ゲームよりも、農業で喰える国づくりに使って欲しい。


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※豆知識:
 間伐材など木質系の材料に含まれる、お目当てのセルロース・ヘミセルロース繊維を
 効率よく糖化・発酵させるには、これらをガッチリ接着して固めているリグニン繊維を
 分解酵素や、特殊な白色腐朽菌やオゾン等で壊さなければならない。
 要するに、草っ葉でやるより、コストもエネルギーも余計にかかり、
 これが廃材などの木クズで作るバイオ燃料の普及を阻んでいる。

 世界中で膨大に出る建材のクズで激安のアルコールが作れたら、
 バイオ燃料用作物と引き換えの、本末転倒な熱帯雨林伐採も減るのにね。
 日本はそういう技術開発こそ、世界に先駆けて国を挙げてやるべきじゃないかな。
posted by Francisco at 21:57| Comment(2) | TrackBack(2) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「オーシャン・サンライズ計画」「新生アポロ&ポセイドン構想」これらのキーワードにgoogleってもらえればいいかと。
 Francisco様、陸域のみだと視野が狭いですよ、せっかく世界6位の広さ誇る排他的経済水域をもっているんですから。農水省(正確には所管の財団法人、東京水産振興会)もそう小馬鹿にしたもんじゃなんですよw。
Posted by bystander at 2007年12月30日 04:47
bystander様

御訪問とコメントありがとうございます。
海洋のバイオマスから代替燃料という話だけは知っていましたが、
今回改めてプロジェクトを調べました。
不勉強ですね。。。

情報ありがとうございます!

「オーシャン・サンライズ計画」
 ←海藻等の藻類でバイオ燃料と飼料を生産
  <(財)東京水産振興会:農林水産省系>

「新生アポロ&ポセイドン構想」
 ←巨大な人工藻場による海の緑化
  <東京海洋大、三菱総研など>

 地殻や海洋への隔離によるCO2封じ込め
 ←<(財)地球環境産業技術研究機構(RITE):経済産業省所轄>

研究開発の分野としては重なるものも個別なものなのもありそうですが、
藻類の培養や環境影響評価などでは重なる技術も多そうですから、
完全にバラバラに研究するのがもったいない気もします。
一国の先行きを左右するような重要な技術開発では、
官学連携・産学連携どちらも、官民一丸となって進める必要があります。
国が上位のレベルで「イノベーション25」のような長期戦略の中で
徹底的に広報活動して民意を高め、
研究費を募りやすいようにして行けたら素晴らしいですね。
(もっとも、政権交代して首相が代わった途端立ち消えでは、困りますが。)

これからもよろしくお願い致します。
Posted by Francisco at 2008年01月03日 07:03
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