ブット元首相暗殺。そしてウソを見抜こう。

雑事に追われ、パキスタンのブット元首相がお亡くなりになったのを1日遅れで知った。
ブットさんが秋に帰国してから、こんな日が来なければいいが、と思ってたのに。
自動小銃で撃った後、犯人が口封じの自爆。
志なかばでの旅立ちは、ご本人も国民もさぞかし無念と思う。
パキスタンの民主主義への道のりがさらに厳しくなった事が悔しい。
ブットさんと、巻き添えで犠牲になった方のご冥福をお祈りします。

パキスタン：ブット元首相暗殺　民主化構想、崩壊　騒乱、総選挙延期も(asahi.com：071228)

毎日の取材で、大阪大准教授（南アジア地域文化専攻）山根聡さんが、
重要な指摘をされている。（「続きを読む」の後に魚拓貼りました）

　　　ムシャラフ大統領は陸軍参謀長を辞し、文民大統領として１月８日の総選挙を成功させ、
　　国民と国際社会に民主化進展を認知させようとした。
　　だが、今回の事件でこの試みは振り出しに戻った。総選挙は延期せざるを得ないだろう。

　　イスラム過激派の犯行と決めつけるのは早計だ。
　　政権内部の反ブット派、反ムシャラフ派の可能性も否定できない。

この記事内でもすでに、イスラム過激派の犯行と、なかば決め付けた
意見を表明する方もいる。
東京財団研究員（南西アジア）・益田哲夫さんはこうおっしゃってる。

　　これまでテロ対策の強化を強硬に発言してきたこともあり、
　　イスラム急進派などからは強い反発があった。

　　総選挙に向けて与野党間の抗争はますます激しくなり、テロ事件が激化する可能性が高い。

東京財団は、ご存知笹川運輸王国・競艇業界のお膝元、日本財団傘下のシンクタンク。
益田さんの御専門は、「安全保障」そして
「東南・南西・中央アジア、及び中東地域に至るシーレーンの安全確保」だそうだ(-_-;)


イスラム過激派の犯行かも知れないし、そうでないかも知れない。
今の段階では何とも言えない。
両方の意見を載せるだけ、毎日新聞はまだ頑張ってるとも言える。

しかし、これからブッシュたんヨイショのテレビキー局の大本営発表は、
『だからこそテロリストとの戦いの為に、日本は給油・兵站の協力を』
てな調子でガンガンとプロパガンダを垂れ流すだろう。
新聞各紙への圧力も予想される。

イスラム過激派以外の犯行説は、徹底的にねじ伏せられるはずだ。
「イスラムは怖い」という空気を作る為に。

よーくニュースをにらんで、ネット情報と見比べて、
だまされないようにしよう。

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　071231追記：新聞テレビは予定通り『困った時のアルカイダ』のオンパレード。
　ついにそれじゃ足りなくなって『タリバンも協力か』だってよ。
　また始まったぜ。他の角度から見た報道はもう許される雰囲気ではなくなった。
　実際はパキスタン与党内で『反ブット』の動きが抑えられなかったんじゃないのか？
　あれだけアメリカにかき回されて長年ドンパチやってれば、当然イスラム原理主義系の民兵や
　スナイパーと繋がりある政界の実力者だって一杯いるだろう。
　イモヅルをシツコクたどりゃ、そこに持ってくのは簡単なんじゃないの？
　これ、アヤシイ臭いがして、気になるんだけど。。。
　→ムシャラフ大統領が英米によるブット元首相の警護を拒否していた
　(低気温のエクスタシーｂｙはなゆー様：071230)

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パキスタン：ブット元首相暗殺　民主化構想、崩壊　騒乱、総選挙延期も(asahi.com：071228)

（引用開始）
パキスタン：ブット元首相暗殺　民主化構想、崩壊　騒乱、総選挙延期も
　【ニューデリー栗田慎一】パキスタンの有力野党「パキスタン人民党」総裁のブット元首相が２７日暗殺されたことで、米政府が民主化の一環として来年１月８日の総選挙後の新政権の枠組みとして望んでいたムシャラフ大統領とブット氏の連立構想のシナリオは崩れた。また今後、人民党支持者らが政府の治安対策に非難を強めるのは必至で、国内が騒乱状態になれば総選挙が延期されるとの観測が出始めている。

　米政府は、今春から政治危機に陥っていた大統領に対し、「民主化計画が危機を脱する手段」として、宗教色の薄い人民党のブット氏との連携と、兼任する陸軍参謀長の辞任を求めた。大統領は１１月３日に非常事態宣言を発令後、参謀長を辞任。１月の総選挙では安定多数の議席獲得が困難であることから、政敵のブット氏ら野党との本格協議を目指す姿勢を見せていた。

　米政府も、対テロ戦争と民主化の実現を目指す大統領の非常事態宣言に原則理解を示し、解除後は「選挙の成功」に強い期待感を表明。大統領は国際監視団を招く計画を明らかにし、米国が求める「公平な選挙」実施をアピールしていた。

　しかし、ブット氏暗殺でこうしたシナリオは水泡に帰すことになった。テロの犯人像や背景は現段階では不明だが、イスラム過激派は自爆テロなどで総選挙の妨害を狙っていたとされる。ブット氏は最近、過激派に対する非難を強めていた。

　人民党はブット氏のカリスマ性で人気を維持している政党だけに、指導者の死亡は選挙への大打撃だ。「政府が治安対策を怠った」として支持者らが反政府活動を高める可能性もある。

　政府は今後、事件の真相解明を求められる一方、公正な選挙をどう実現するかが問われることになる。しかし、国内が混乱すれば、選挙が延期される可能性は極めて高い。

　◇過激派嫌疑は早計−−山根聡・大阪大准教授（南アジア地域文化専攻）の話

　ムシャラフ大統領は陸軍参謀長を辞し、文民大統領として１月８日の総選挙を成功させ、国民と国際社会に民主化進展を認知させようとした。だが、今回の事件でこの試みは振り出しに戻った。総選挙は延期せざるを得ないだろう。

　イスラム過激派の犯行と決めつけるのは早計だ。政権内部の反ブット派、反ムシャラフ派の可能性も否定できない。

　◇与野党抗争激化も−−益田哲夫・東京財団研究員（南西アジア）の話

　ブット元首相は１０月１８日に８年半ぶりに帰国した直後から、自爆テロに狙われてきた。これまでテロ対策の強化を強硬に発言してきたこともあり、イスラム急進派などからは強い反発があった。

　非常事態宣言が解除され、総選挙戦に突入する中で今回のテロ事件は起きた。総選挙に向けて与野党間の抗争はますます激しくなり、テロ事件が激化する可能性が高い。

毎日新聞　2007年12月28日　東京朝刊
（引用おわり）

Comments

こんにちは、この暗殺事件を報じる某新聞の記事に「アルカイダ関与か？」なんて書いてあって「きなくささ」感じました。とりあえず「アルカイダ」って書いておけばイメージつくだろ、って感じがして…
日本の国民は「テロ」の理由や裏側にあるものを、もっと知らなければならないと思うんですけど。

Posted by うろこ at 2007年12月31日 01:29

うろこ様
いつも御訪問ありがとうございます。
現政権側が怪しまれているため、ムシャラフさんは
スコットランドヤード(ロンドン警視庁)に現地捜査を
頼みましたが、これすら国内では疑問視する声もあるようです。
国連のコントロール下にある完全中立な捜査チームを呼べと。
一方、この正月にNHK地上波でも放映されているBS特集
「33か国共同制作“民主主義”」(原題"Why Democracy")の
パキスタン編で、保守寄りの市民が語っていた言葉も印象的でした。
「ムシャラフは親米と批判されれるけれど、政権が生き残るには
他に選択肢がない。」
全くもって、どこかの国と似た苦しみがパキスタンの国民をも
苦しめているようで、複雑です。

Posted by Francisco at 2008年01月06日 23:28