2008年05月20日

今こそアジアは力を合せて

ビルマ(ミャンマー)のサイクロン、そして中国・四川省の大地震と、
か弱い人間が、自然の猛威になすすべもなく翻弄されている。
何もできない無力感で、記事を更新する気力が沸かなかった。

刻々入る、震災の惨状。死者は判明しているだけで3万人以上。
道路もあちこちで寸断され、ダム決壊の危険もあるというし、
人民解放軍と武装警察だけでできることには限界があるだろう。
ボランティアの方たちも各地から駆けつけているようだ。

この生き地獄を目にしても、まだ「だから中国はダメだ。」とか、
「オリンピックはムリなんじゃない?」とか公の場で言ったり書いたりできる人の
神経を疑ってしまう。
そういう人は、自分の身に同じ事が起きた場合を考えて欲しい。
防災・耐震対策の遅々として進まない東京・大阪を大地震が襲ったら、
被災者の桁数は比べ物にならないよ。
新築の建物でさえ、国交省自身が多くの耐震偽装を握りつぶしてるんだぜ。

大切な人を亡くし、ガレキの山の中で火の手に追われて途方にくれてる時に、
自衛隊やレスキュー隊の人たちに混じって、外国の支援部隊が現れたら、
相手が誰だろうと、普通は泣いて感謝すると思うけどな。

チベット族の市民が多く住む地域だから、最初は二の足を踏んでいた中国政府も
国外の支援部隊の受入れを決断した。
最初に現地に乗り込んだのは日本隊の31名の方々だった。
これは日中両国とも大いに胸を張っていいと思う。
欧米各国やシンガポールなどと並んで、台湾も真っ先に人的支援の手を挙げた。
北朝鮮も苦しい中から支援金を出すとの事(国内は飢餓状態と聞くけれど)。
これを、災害を利用した政治上の売名行為だと言いたければ言えばいい。
やらないよりは100倍もマシだ。

助っ人は一人でも多い方がいいに決まってる。

同じアジアの、かけがえのない兄弟たちが泣いている。
まず苦しんでいる人を一人でも助ける事だけが、最優先だ。

各国内の政局は二の次だろう。

ビルマ軍事政権は、一刻も早く外国からの人的支援を受け入れるべきだ。
被災直後の国土を航空写真で見ると、国の形が変わっている。
情報の流出を恐れている場合じゃない。

国連のパン・ギムン事務総長やタイ政府の進言もやんわりと無視された。
ASEAN各国外相はシンガポールで会合を開き、
ビルマはASEANからの人的支援受け入れるべきだと声明を出してるけど、
ASEANから加盟国への要望には強制力がないそうだ。
この期に及んでも、軍政の延命を図るための憲法改悪の国民投票だけは
監視付きで強行している。
棄権は許されないし、どっちに投票したか見張られてるそうだ。
完全に本末転倒だ。
国家の基盤、国民のくらしが破壊されてしまったら、
どっちにしろ、形ばかりの独裁政権がそう長く続くはずがない。
国土の荒廃は周辺国にも深刻な影響を及ぼすのは間違いない。

大災害で無数の民衆の暮らしがピンチに陥っている今こそ、
アジアが団結して一つになる、最大のチャンスだと思う。
(「八紘一宇の神の国・大東亜共栄圏」じゃなくて、みんな対等のね。)

一緒に励ましあい、困難を乗り越える中で、フランクにお互いのいい所も
悪い所も言い合えるキッカケが生まれ、
みんなで夏のオリンピックを迎えられたら、と願う。

中国全土では5/19から3日間、地震で犠牲となった方たちのために喪に服すそうだ。

こんどのオリンピック開会式では、黙祷の時間を作ってくれたら、と思う。
表向きはそうと言わなくとも、世界はチベットとビルマで亡くなった市民のためにも祈るだろう。

時間は掛かっても、ヨーロッパがEUでやれた事を、アジアができないはずがない。
苦労しながら、アフリカ連合を作り上げる努力も続いている。
民主主義というものを育てるには大変な手間がかかる。
少しでも油断すれば、あっという間に消えてしまうから。

南アフリカ・ヨハネスブルグでは、アレキサンドラという旧アフリカ系住民居住区を発火点に
移民・難民に対する暴行・強姦・殺人などの襲撃がひどくなっているそうだ。

武装した若いギャング団による犯行らしい。
警察は催涙ガスやゴム弾で無駄な殺傷をしないように応戦してるとのこと。
なかなか向上しない貧困層の生活の中から自然発生的に起きて来たのだろう。
ジンバブエ・モザンビーク・マラウィなどの政治経済が不安定な周辺諸国から、
命からがら南アまで逃げ延びて来たのに、外人だというだけで
ここでも心ない差別主義者に命を狙われるとは。。。

マンデラ元大統領は「こういうことをするのは南アフリカの人間とはいえない」
と怒りの声明を出している。
忌まわしいアパルトヘイトを生き抜いたアフリカ系市民が大部分を占める南アで、
さらに弱いものがいじめられる構図。
移民に仕事を奪われるかも知れないという、恐怖と焦り。。。

南アフリカ:絶望した人々の救済(Janjan:080218)

これはチベット問題や日本国内の差別の構造とも通底するものがある。
そして、中国と日本は、スーダン政府への最大の投資国・石油の取引先として、
ダルフールの虐殺停止への国際社会の取り組みに水を差していることも、忘れないようにしよう。
イギリスでは、国会議員のグループが懸念を表明し、
昨秋にも福田さんに抗議の書簡を送って来たけれど、もちろん国民には開示されずじまい。

日本スーダン石油一部輸入停止の真相 追加(ダルフール・ニュース様:080114)

こういう言いにくい事を、オトナの友人同士として、アジアの国々の間でも、お互いに堂々と
言い合えるようになる時が、早く来て欲しい。

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posted by Francisco at 03:52| Comment(1) | TrackBack(1) | 日々雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
またまた,拝見させていただきました。
応援ポチッ!
Posted by サトシ at 2008年05月22日 16:53
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