2009年07月06日

KGBの恩返し

といっても、旧ソ連の国家保安委員会ぢゃなくて、虫の話。

   KGB=コウガイビル。

 我々はもう、奴らから逃れられない・・・THE KGB FILE
 (↑演劇エッセイスト、ウニタ モミイチさんの大いに笑えるページ。ただし、グロい生き物ダメな人はトラウマに注意。)

宇宙からの飛来生物を思わせる、その姿、
切り刻んでもそれぞれが一個体に再生する生命力などから
いつしかネット上ではそう呼ばれるようになった。

扁形動物・渦虫類・三岐腸類の、陸に棲(す)むプラナリア*類。
 (*プラナリア類の和名はウズムシ)

「泣く子も黙るKGB(カーゲーベー)」って点は共通している。

それがいたんですよ。KGBが。
ある雨上がりの夜の、アスファルトの上に。
キャラメル色のツヤツヤのヤツが。
T字型アタマの平たいヒモに、3本の茶色いストライプ。
長さは20センチくらい。

在来のミスジコウガイビルか、中国系のオオミスジコウガイビルの子ども。
オオミスジKGBは、1m超えの報告例も。。。( ゚Д゚)

舗装に水気を吸われて、苦しそうに這いずっていた。

お。。。このままだと干からびちゃう。とりあえず拾って植え込みの下にリリース。
(舗装道路でミミズを見付けたときに助けてしまう、いつものクセが。)
触った指はネバネバ生臭い (・・;
ま、いっか。もう危ないところに出て来ちゃダメだよ。

三筋笄(こうがい)蛭・・・笄とは、昔の日本女性が髷(まげ)に挿した、かんざしの一種で、大きな耳かきみたいな形をしたものをそう呼んだ。

平川いくをさんの人気本「へんないきもの」で紹介されて、最近は大分メジャーになった。
水木しげるさんや媒図かずをさんの漫画に出そうな「クロコウガイビル」もなかなかシュール。

別に「シャーーー!」とか言って人に喰いついたりするワケじゃない。
 <それじゃ怖すぎる(^_^;>
石や落ち葉の下を住み家にし、胴体の真ん中の口でミミズ・ナメクジ・カタツムリなどを捕食する。
地味な生き方だ(^^)
動きは遅いし、シッカリした歯はないし、消化器もシンプルだからね。
(ヒトの血を吸う方の、環形動物のヒルはむしろミミズやゴカイに近い。)

だけど遠くへ行きたい時は木にも登る。
粘液の糸で枝からブラ下がって、風でターザンよろしく離れた場所へ降りるんだって。
(粘液降下)
1mクラスのKGBに、上からピタッと貼り付かれたら、ホラーですねえ。
でも、コンクリになんぞ落ちると、1日でペラペラの紙テープに(TT)

生物学者・本川達雄さんが名著「ゾウの時間 ネズミの時間」の中で
ヒラムシはなぜ平たいか」という考察文を書かれていて面白い。
循環器系が未発達で肺も心臓もない扁形動物は、体をぶ厚くすると、
隅々まで酸素が回らないんだとか。
(ちなみに本川さんのご専門はウニ・ヒトデ・ナマコなど棘皮動物。)



約40年前の夏、近江八幡に遊びに行った際、従兄弟たちと琵琶湖で
水遊びしようという事になった。高度成長の最中ではあったが、琵琶湖の
水はまだ結構きれいで、「ウォータースポーツするぜ」みたいに気合入れて
ウエットに着替えたりしなくても、沿岸の人は日常的に水着だけで遊んでいた。

幼い管理人も親に連れられて、恐る恐る湖に足を踏み入れた。
そして浅瀬で小魚やエビと遊んでいるうち、変なものが目に入った。
薄茶色で紙みたいに薄っぺらの、長さ1センチ位の正体不明の生き物が
水中の石の上をゆーっくりゆーっくり動いているのである。
父に「これ何?」って聞いたが、「子供のころ見たことあるなー」
ぐらいのことしか分からなかった。
 その姿から今考えると、プラナリア(ナミウズムシ)か、その近縁のヒラムシの仲間だったようだ。
(でもヒラムシは普通、淡水にはいないよなあ。。。)
形はおなじみの三角アタマではなく、全体に楕円ぽかったので、理科室で見る
メジャーな養殖モノの「ナミウズムシ」とは違う種類か、単に縮んでいたのかも。
(プラナリア自体、メジャーじゃないか。)
谷川など、水のきれいな所でしか生きられないプラナリアの仲間が琵琶湖に
いたのが感慨深い。

 野生のプラナリアを最後に見たのは30年程前。
近所の園芸店で買ったスイレンの鉢の、水面の裏側を忍者みたいに5〜6匹がのんびり歩いていた。
おそらく比較的環境のいい関東近郊の、植木・花卉(かき)農家の方が、
沢筋の流れで栽培して出荷したのだろう。
切り刻んで再生する所を観察日記に付けちゃおうかなー、
などと考えてるうちに、いつの間にか姿を消した。
まるで溶けたかのように、死骸すら見つからなかった。

 陸生の扁形動物はまだ比較的汚染に強いようで、雨上がりには東京23区内の
住宅地でも、カタツムリ君やナメクジ君たちに混じって、たまーに、KGB君がその少しグロい姿を見せてくれる。
 それにしても、こんなにナイーブで、一見儚く見える彼らが、太古から絶えることなく命を伝えて来た事は驚愕だ。



「ジョキッ。ううう。。。ブチッ。ぐああ。。。」

「おーい、おヒルや。大丈夫かや?」

「いけません!私がキャラメルを作っているところを、決してのぞかないで下さい。」

はいはい、わかりました。でも恩返しには来なくていいからね(^^;
posted by Francisco at 01:21| Comment(0) | TrackBack(3) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月02日

インフルエンザが人災にならないように

3ヶ月も更新をサボってる間に世界は流転。
「不要不急の外出制限」も間近な今日この頃。
『ああ〜!いま総選挙にしときゃよかった!!投票率を最低にできたのにい。。。』
なんて与党のセンセ方は思ってるのでしょうか。

でも、実態は人間の想像をはるかに超えて進んでる可能性が高いみたいだ。。。

PandemicAlertLevel.jpg

WhoPandemicAlertPhases.gif


国内におけるブタインフルA(H1N1)の感染の拡大は必須である。(鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集様:徒然日記090501)

引用開始
 理由は、今回の横浜市の高校生の感染疑い例の対応ぶりが、少々お粗末だったことと、疫学調査が未だ国内で行われていないことが上げられる。
 高校生は団体旅行でカナダに滞在し、25日戻ってきた。3,4日後に発熱し、病院受診、当初は検査でインフルエンザと診断つかなかったようだが、状況から見て明らかにブタインフルA(H1N1)が疑われるべきであった。しかし2日位は自宅と病院の間を行き来したようだ。発熱前1日から発熱後数日はウイルスを周辺に咳やくしゃみでまき散らす。
 また3月からこれまでの間、メキシコや米国から帰国して、インフルエンザ様症状を呈した人々の調査は行われているのだろうか?特に4月中旬から下順にかけて重要である。
 多くの人々が帰国したはずである。そうした中に感染者がいた確率は高い。感染者がどの程度いたかを推定することは重要だ。またそうした人々から臨床経過や臨床症状、さらに周囲への感染があったかも聞き取り調査が必要だ。
 こうした調査がいまだ開始されてないとしたなら、地域での感染の広がりの有無が全く分からない。
 −−−−>3月−−−−−>4月−−−>検疫開始−−>5月
 メキシコのウイルスはどの時点からいたのだろうか?
 米国では3月下旬に子供が発病していた。
 日本へはどの時点で入ってきていたのだろうか?

 この連休に国内で広がるのは間違いはない。
 だたし軽症が多いだろうから、検査をしなければ分からない。
 熱が出た。
 そしてA型インフルエンザ陽性なら疑わしい。国内にウイルスが入っている可能性が高いから、空港だけのチェック体制では意義が乏しい。パンデミックになったなら、感染地域は無くなる。全ての場所にウイルスがいる可能性がある。
 知っていただろうか?

 現在の日本の体制は、これで良いのだろうか?
 過剰な装備で動き回る検疫官達の姿だけがテレビで印象的に、国民の目に映っている。
 言い過ぎではない。
 中身のある対策が必要なことに気がつくべきだ。

引用おわり

新聞への投稿なのでウラが取れないけど、発生源のメキシコ・ペロテ周辺の医療現場は
世間で垂れ流されてるニュースとはケタ違いの惨状、という話も聞こえて来る。
それも海外の新聞でしか伺い知れない。
090503追記:東京(中日)新聞はBBCのソースを扱ったそうだ。お手柄ですぜ!!

ペロテには、メキシコ最大級のグランハス・キャロル養豚場があり、
実質上はアメリカの、スミスフィールド・フード社の傘下。
アメリカ様に「配慮した」メキシコ政府による口止めがあるらしい。
もちろん日本の食卓も、毎日この会社にお世話になっている。

あと、知らなかったけど新潟日報に4/29、海外旅行から帰国した長岡市の人が発熱し、
保健所に届けた件が本人のコメント付で載ったらしい。
案の定、フィルタ解除して色んなキーワードでググってもWEB版では既に見つかんない。
既にキャッシュすらない所を見るとソッコー削除の指令が下ったか、
もともと社の安全を考えて紙面にしか載せてなかったのかも。
それにしても全国紙やTVでは「故意に」シカトされてるし。

豚インフルエンザについて BBC News の投書欄が怖すぎる件について
 (Rails で行こう!様:090427)


7:43 am(カオナシの空間様:090428)

豚インフルエンザ、メキシコの社会的危機を深める(マスコミに載らない海外記事様:090501)

メキシコでは豚インフルエンザがヒトに感染し出してから、2ヶ月も初動が遅れた。
その間に結構な人数が国際的に移動している事を考えると、
とっくに日本にも入っていると考えるのが自然だろう。
騒ぎになって各国が調べ始める前に発症したり、発症しないままキャリアになってウイルスを広めた人が、
世界中に埋もれている可能性が高い。

あくまで憶測だけど、初期の豚インフルは比較的軽症タイプで、それが今あちこちで騒がれるようになり、
その間、メキシコ政府が見て見ぬ振りをしてたペロテ周辺で、より悪性で死亡率が高いタイプの変異株が出て来たと考えると
メキシコ周辺と、遠い国とで症状が違う理由も分かる気がする。

virusmutation.gif


それにしても、フェーズ4に引き上げるタイミング自体、遅かったんじゃないのか、と言う疑念がでている。
お膝元のCDC(米疾病対策センター)だけじゃなく、WHOも実際はアメリカの金に頼って運営されている。
ドル・株・国債の価値を落とす報告について、政財界からの圧力がないといったらウソだろう。

毎日は圧力に負けずにハッキリ書いている。
さすがだ。
産経・読売・朝日・日経にはこういう記述は出て来なかった。
北米大陸発のインフルエンザの警戒レベルが上がるのが困る人たちがいるんだろな。
戦前のような言論統制が強まり、当たり前のことを中立の立場で当たり前に書くことがドンドン難しくなっている中、
毎日の現場のジャーナリストの皆様(澤田記者、関東記者、下桐記者)の勇気と、それをバックアップしたキャップにエールを送りたい。
人の命はカネ次第、って連中の腰巾着は日本からも消えてくれ。

豚インフル:経済への悪影響に配慮か WHO「5」見送り(毎日新聞:090428)

引用開始
【ジュネーブ澤田克己、関東晋慈、下桐実雅子】世界保健機関(WHO)は27日、新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)に備える警戒レベルを「フェーズ4」に引き上げたものの、一部でうわさされた「5」への引き上げは見送った。また、渡航制限への反対姿勢を明確にし、通常のインフルエンザワクチン生産の継続を各国に勧告するなど、国際社会に与える影響の大きさに配慮した跡が見受けられた。 

 この日の緊急委員会終了後に会見したケイジ・フクダWHO事務局長補代理は「純粋に技術的観点からの議論でフェーズ引き上げが決められた」と強調。同時に「引き上げによる政治的、経済的な影響を強く認識していた」と認め、経済への悪影響を懸念する加盟国の立場を無視できないWHOの苦しい立場をうかがわせた。

 WHOの判断について、押谷仁・東北大教授(ウイルス学)は「今後どの程度の被害が出るか、ウイルスの病原性が分からない。そのためWHOは警戒レベルをフェーズ5まで引き上げられなかったのだろう。渡航制限については慎重だが、いずれ踏み切るだろう。メキシコでウイルスの詳細が確認できれば、日本をはじめ各国は、SARS(急性肺炎)の際にも出た海外渡航延期勧告を出さざるをえない」と推測する。

 押谷教授は「地域的な広がりは避けられず、欧州のスペインなどで人から人への感染が確認されればパンデミック(大流行)の状態になる。だが、感染は拡大しても季節性程度の被害にとどまるのか、我々が考えていたような大きな被害をもたらすものなのかが問題だ」と話す。

 また、日本をはじめ、WHOがフェーズを4に上げないと対策を取ることができない国がある。押谷教授は「加盟国からのプレッシャーはあっただろう」と政治的な背景も推測する。

 松本慶蔵・長崎大名誉教授(呼吸器感染症)は「各国に用心させる意味があり、患者の早期発見や感染の監視を促す警告だ」とみる。「人から人への感染は、メキシコが中心だ。アメリカの感染者はメキシコからの帰国者で、そこの地域でどんどん広まっているわけではなさそうだ。他の国も同じ。情報が少ない現時点で、フェーズ5に引き上げる必要はないだろう」と話す。

引用おわり

毎日のWEBは4/27に新警戒レベルが4に引き上げられた直後の04/28未明2時05分も、
「その定義」についていち早く書いていた。
市民の安全の為に有益な情報を最優先で開示するのがマスメディアの使命だろ。

豚インフル:警戒度上げの可能性 WHO緊急委前倒し(毎日新聞:090428)

引用開始
WHOは27日までにインフルエンザの警戒レベルを新たに策定した。それによると、
「フェーズ4」は動物もしくは人と動物の混合ウイルスによる地域レベルでの感染が確認された状態で、
大流行に移行する可能性があることを示す。
また、「フェーズ5」は、そのウイルスによる人から人への感染がWHOの2カ国以上で発生しており、
大流行直前の兆候がある状態。「フェーズ6」は、現在のレベルと同じ「大流行」を指す。

引用おわり

これを他社に先駆けて書くのが、みんなそんなに怖いんだ。。。

農業情報研究所様も同じ視点から記事をUPして下さっている。
豚インフルエンザ 何故パンデミック・フェイズを上げない?(農業情報研究所様:090427)

引用開始
それとも、メキシコの状況を正視できないのだろうか。フェイス4となれば、メキシコだけでなく、金融危機に発する危機の最中にある米国経済に致命的な追い討ちがかかる。死んでもフェイス4などと言いたくないのだろう。

引用おわり

国際獣疫事務局(OIE)のヘンな動きについても。ここもアメリカ様のカネでやってるからね。

OIE 現在広がる豚インフルエンザの”北米インフルエンザ”への改名を提案(農業情報研究所様:090429)

引用開始
 貿易最優先のOIEらしく、豚インフルエンザの呼び名が豚と豚由来製品の貿易に悪影響を及ぼすことを恐れたのが何よりの動機だが、現在広がっているウィルスは、人間・鳥・豚起源の遺伝的コンポーネントを含むもので注1)、”豚インフルエンザ”と呼ぶのは不正確、過去に起きたアジアのインフルエンザ、スペインのインフルエンザの発生のときに使用されたのと同様な命名法にならい、”北米インフルエンザ”と呼ぶことを提案する。

 そして、現在までに利用できる情報では、現在米国とメキシコで起きているインフルエンザの発生に先立つ豚インフルエンザの発生はなかった。人間の感染者が発見された地域内で感染動物が確認されていないのだから注2)、豚や豚製品の国際貿易措置を導入する必要はないし注3)、豚肉製品の消費者に感染リスクがあると考えることもないという。  

 人間と豚と鳥のインフルエンザウィルスを世界のすべての場所から寄せ集めた複雑怪奇な新型ウィルス、巨大養豚・養鶏工場が集積する北米でなければこのようなウィルスは誕生しなかったかもしれない。その意味では、確かに北米インフルエンザの名がふさわしい。(タイは既にメキシコインフルエンザと呼んでいるそうである)

引用おわり

元衆議院議員・現NPO法人日本エコツーリズム協会理事の笹山登生様も科学的視点でタイムリーなエントリを上げて下さっている。
環境問題を中心に農・食・医療にまたがる記事はどれも示唆に富んで政治経済のウラをえぐるものばかり。
http://www.sasayama.or.jp/wordpress/?p=708
http://www.sasayama.or.jp/wordpress/?p=997

ところで、厚労省が不思議な動きを見せている。
なんだろ?(・”・)?

厚労省、H5N1プレパンデミックワクチンの事前接種結果を発表(鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報様:気になる情報090406)

引用開始
厚労省研究班がH5N1プレパンデミックワクチンの事前接種結果を発表した。(いつしか事前接種という言葉が省かれ大規模臨床研究という表現になったが)。なぜH5N1ウイルスのプレパンデミックワクチンの事前接種を、今、急ぐのか。これは世界の謎だと言っても過言ではない。昨年事前接種が始まる前の国内外の報道機関の記事をまとめたものを、参考までにリンクする。如何に計画が不明瞭なものかが分かる。参考
 これでは良くない。

引用おわり

確かにウイルスの外殻の蛋白はH5N1型同士、H1N1型同士の間では似てるから、
免疫を補強する効果はあるかもしれないし、やらないよりはいいに決まってる。
ただ、パンデミック時のウイルスは既に変異している可能性も高く、
確実に効くワクチンはパンデミックが発生しないと作れない。
最終形のウイルス発見から大量生産まで、数ヶ月かかるよ。

「プレパンデミックワクチンの推進」を旗印に都議選に出馬予定の自民党の田代ひろし都議(医師出身)と、
後援する舛添厚労相の2ショットのポスターを目にした時、「ナンじゃこりゃ」って感じたんだよね。
田代都議は、古賀・土屋都議と一緒に『こんな偏向教師を許せるか』なんてトンデモ本をばら撒いて、
「日韓併合はウソッパチ」だと言い張り、正しい史実を学校で教えた教師を糾弾しまくり、
逆に教師側から訴えられてしまった。
東京地裁での3人の恥ずかしい発言は、リンクを見てほしい。
ワシントンポストやフランスのメディアに「従軍慰安婦はウソッパチ」「南京虐殺はなかった」
の広告を出したグループの河村たかし・名古屋市長(民主)といい勝負だ。
河村市長は「南京大虐殺記念館の写真は捏造だから調べてね」というすっトボケた質問主意書まで出してたっけ。

7.14東京地裁での証人尋問。古賀・土屋・田代3都議の右翼偏向ぶり/増田都子(薔薇、または陽だまりの猫様:060731)

しかし、死のウイルスが第二波で襲ってくるなんて、あって欲しくない。
妄想で終わったらいいな。
これから南半球は冬。鳥インフルも出番待ちだしなー。。。
やだなー。来ないでくれー。


命おとすな、自民おとせ。

政権交代こそ改革の本丸。


総選挙。自公落として明るい未来。

 ここって、どこの国ですか?

 票数インチキし放題の電子投票制度導入

 野蛮な大量処刑を推進する裁判員制度

 目くばせだけでタイホ出来る共謀罪創設

 独裁国家並みのネット規制

総選挙で一揆を起こそう!!

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2009年01月19日

「夢を打ち上げるんやない。夢で打ち上げるんや」

SOHLA-1.jpg


いよいよ町工場の連合体「東大阪宇宙開発協同組合」が作った人工衛星
「まいど1号」(開発名"SOHLA-1")が、01/21に種子島から打上げられる。

目を覆うような悲惨な世の中で、久しぶりにドキドキする科学ニュース。
どんなに不況や金融危機が襲ってきても不死鳥のように立ち上がる、
日本の製造現場のオヤジ達のド根性、世界中に見せたるでえ!

約50センチ四方のカワイイ衛星ながら、VHFの電波帯で雷を探知・観測する実験などに取り組む本格派。
今回のミッションでの運用期間は3カ月。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)では、H-IIAロケット15号機での、
温暖化ガス観測衛星「いぶき」(開発名"GOSAT")打上げの余力を利用して、
相乗りさせる小型副衛星を公募。
まいど1号は相乗り6基のうちのひとつ。

「夢を打ち上げるんやない。夢で打ち上げるんや」

航空宇宙産業を地場産業に育てるため、町工場のオヤジたちが立ち上がり、大学や官庁とチームを作った。
JAXAの産学官連携部のHPに、まいど1号の開発過程が写真付で載っている。
濃密に漂う手作り感。工作好きな人は激萌えだったりして。
不況産業の空洞化後継者不足
  ↓
目的
 1 中小企業の活性化
 2 次代の若者を育成

宇宙実証用小型スピン衛星を、JAXAの小型衛星「μ-LabSat」の技術に基づき、
東大阪市を中心とした中小企業で短期に低コストで実現する。

こりゃいいわ(^^)

今村理事長率いる組合は、「ものづくりの魅力を若者に知ってほしい」との旗印のもと、
02年12月の結成以来、まいど1号の開発を6年かけて進めてきた。

なんか勇気が出てくるね。
やっぱ技術はミサイルや戦闘機より、こういう事に使うのがいい。
宇宙と軍事の航空技術は表裏一体だから。
多くの犠牲の上に平和をつかんだ日本の、職人魂の結晶。
最先端のテクノロジーは、舞台裏で人の手わざが支えている。

まいど1号は8月から筑波宇宙センター(茨城県)の試験棟で最終調整を続けて来た。
 打上げ予定日   :2009年1月21日(水)
 打上げ予定時間帯:12時54分〜13時16分

いぶき打ち上げ特設サイト

インターネットライブ中継もあるよ。
 見られる人は、是非ナマで!!

ロケットは、ゼロ戦を生み、今も軍事産業のカナメをなす、
三菱重工業のH-IIA。
(開発の名義は当時の統合前のNASDA(宇宙開発事業団))

零式戦闘機。。。
経済力で欧米に太刀打ちできなかった日本の戦闘機を、
人命を盾に、装甲を外すなどムリヤリ軽量化し機動性を高めせた軍部の暴走。

60有余年を経てなお、ガザをはじめ世界で続く戦乱。
戦争できる国家に逆戻りさせるため、いま急速に画策される憲法改変。
ゼロ戦開発者の堀越二郎さんは、天国からどんな思いで見ていらっしゃるだろう。


命おとすな、自民おとせ。

政権交代こそ改革の本丸。


総選挙。自公落として明るい未来。

 ここって、どこの国ですか?

 票数インチキし放題の電子投票制度導入

 野蛮な大量処刑を推進する裁判員制度

 目くばせだけでタイホ出来る共謀罪創設

 独裁国家並みのネット規制

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2008年02月10日

揮発油税で建設発注増?固定資産税UPで温暖化防止??

日本の市街地は行政上『住居地域』っていう都市計画の区分けがされてる所が多い。
これは、住宅地と商業、工場地域を混ざり過ぎないようにルール化する事で、
日照権、空気・水の汚染、騒音・振動などの環境トラブルを減らし、
逆に商業や工業が、必要以上の制約を受けないようにする為だ。
建築基準法に基づいて、自治体が地元の実情に応じた線引きをし、
一定の効果を上げてきた。

こんど急浮上してきた新しいルールのアイディアは、

  『低炭素地域』 

     。。。なんじゃこりゃ(-_-;)

都市計画家の重鎮中の重鎮、伊藤滋さんが温室効果ガス削減への提案として、
「低炭素地域」っていう地域を役所が指定し、地域ごとに厳しさを段階付けるべき、
って東京都内で講演したそうだ。
(大和ハウス工業大ホールで1/24にあった「都市・環境フォーラム」で。)

都市計画で「低炭素地域」指定を/伊藤滋早大特命教授、
 温室効果ガス削減へ提案(建設工業新聞:080128)


容積率(敷地に対して建てられる床面積の限度)の高さ順に第1種から第5種までの
『低炭素地域』を自治体が指定する。

戸建住宅は禁止して、商業ゾーン(1・2種)ならエネルギー制御設備の
置き場を地下室を掘らせて確保する(建築工事)とか、
1〜3種の地域には、10ヘクタールに1ケ所のエネルギーセンターを作る(プラント工事)とか、
住宅地の既存家屋はバツとして窓や外壁を二重化する(リフォーム工事)義務を負わせるとか、
新しい温暖化ビジネスの香りが馥郁(フクイク)と漂っております。

固定資産税に「カーボン・オフセット費用」という環境税を上乗せすることも提案。

当然、大地主から順にたくさん取るんですよね?!
一律に負わされたらネコの額のビンボー所帯はたまらない。

大きな再開発事業には、『市街地・エネルギー統合地区』ってのを設定して、
ナンと揮発油税(デターーー)から区画整理と再開発に補助金を出すんだとか。

パイプライン作るのに揮発油税を使うのかよ。
ガソリン使った分だけ、地球にやさしい街づくりが出来ますと。
次から次へと、ホントよく思いつくもんだ。

「街づくり」を減らした方が、よっぽどCO2排出が減ると思うけどな。

ここまで来ると環境対策のためなのか、カネ集めのためなのか、ビミョー(-_-;)
伊藤さんといえば、国の都市計画行政に絶大な影響力を持ってるから、
リアルな話として、そのうち国民生活に負担が来るだろう。

業界紙以外ではまず報道されないよな、このテの話って。。。


環境省も研究費を付けて、国交省と相乗りで
「低炭素地域づくり面的対策事業」ってのを推進するらしい。
地域づくりの計画に低炭素の概念をプラスし、緑化や風の道、
公共交通の乗り継ぎのシームレス化による利用促進、
なんぞの対費用効果をシミュレーションするみたい。

研究のやり方は、低炭素の地域づくりを行う地域を公募し、
地方公共団体・地域住民・NPO・事業者等が参加する
『地球温暖化対策地域協議会』ってのを作り、CO2削減目標や計画決め、
その為の調査・シミュレーションをするんだそうだ。

http://www.env.go.jp/guide/budget/h20/h20-gaiyo-2/027.pdf
http://www.env.go.jp/guide/budget/h20/h20-gaiyo/032.pdf

アメリカ等と違って、日本ではNPO法人は官庁が認可を下ろさないと
設立できないから、官サイドが運営方針、天下り先の確保、
カネの出入りのさせ方にカンタンに口をはさめる構造になってる。

なんか、伊藤さんの提言も、結局これと地続きの概念
だったりして、などと妄想してみる...

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2008年01月29日

世界遺産クラスの高尾山が・・・(iДi)

大阪府知事選の影に埋もれた感があるけど、
東京でも八王子市長選があった(1/27投票、1/28開票)。

自・公推薦のハコモノと道路利権ズブズブの現職・黒須隆一さんに、
社・共推薦の自然保護団体事務局長・橋本良仁(よしひろ)さんが負けた!!

選挙:東京・八王子市長選 黒須隆一氏が3選
 (元記事の引用は末尾に貼りました)

いやな予感が当たってしまった。

これで東京郊外に照葉樹林(温帯常緑広葉樹林)が奇跡的に残る
高尾山(たかおざん)の横っ腹をぶち抜き、
ムリなルートのままで
「圏央道高尾山トンネル」が作られるのが、ほとんど避けられなくなった。
裏高尾(北面)には巨大ジャンクションが同時に出来る。

反対の声を上げてくれる市長は誕生しなかったのか。。。
みんな高尾のすばらしい自然が大好きなはずなのに。。。

標高約600メートルの小さな山にそんな事したら、ひとたまりもない。
氷河期を生き抜いて大都会のすぐそばに残る、世界でも稀な自然は、
無傷では未来に受け継がれなくなる。

本当におろかな事だ。

しかも暖帯の北限に位置する地理上の巡りあわせで、
カシ等の照葉樹林(*)とブナ等の暖帯落葉広葉樹林が同じ山の
南北両面に接して存在
、一部は混生さえしており、宝物のようだ。
(暖帯=温帯と亜熱帯の間)

白神山地や屋久島のように世界遺産にならないのが不思議だよ。

地球上でここにしかないタカオスミレをはじめ60を超える固有種や、
希少種の蝶・アサギマダラなどへの影響も避けられないだろう。
虫に詳しい人は知ってると思うけど、ここは日本の昆虫の3大聖地。

高尾は開山以来1200年にわたり、聖地として庶民信仰の対象だったため
草木がみだりに切られることなく、豊かな自然が守られて来た。

渋滞や不便をガマンしろとは言わない。
でもワザワザここを選んで通すこたあないだろうに。
カネと時間がかかっても真剣に代替ルートを実現しないと、
未来に取り返しのつかない大きなツケを残す事になる。
何も考えず、「おカネが動いちゃったからしょうがない」と
長良川の河口堰や、諫早湾の干拓の愚行を繰り返すのかな。

すでに現場では、国の強制収用絡みで地権者も未確定のまま
先導杭が掘り始められている
、とのうわさも流れている。

ズサンで形式的な環境アセスメントをゴリ押しし、手続きのないまま
現場に乗り込んで「着工」を既成事実化するやり方
は、
沖縄・辺野古での米軍基地の為の「サンゴ調査」強行とソックリだ。

経緯はこちら
ウソと無責任で破壊される高尾山
 トンネル工事停止は今からでも遅くない 和泉 明(日刊べりタ:060610)

圏央道と環境アセスメント(高尾山総合インフォメーション)

東京都が音頭を取って、事もあろうにふもとのトラスト運動地の、
国の強制収用を認め、地権者に明け渡しを求めてた
圏央道高尾山トンネル建設
 トラスト地収用裁決(赤旗:071229)




しかし、下ばっかり向いていられない。庶民にも明日の生活がある。

8.5万票対6.3万票で2万票余りの差が付いたとは言え、
八王子の投票率はたったの34.37%だから(ひでーもんだ)、
潜在的な浮動票を考えれば圧倒的敗北ではない。

社民党と共産党。やれば共闘できるじゃないの。

『自民党卒業生のいない野党(^^)』には、党利・党議を越えて共に戦って欲しい。
民主党の尻を叩いて暴走を監視し、自公政権に鉄槌を下して欲しい。

もうこんな生活破壊と24時間監視の、子供を産む事も喜べない世の中はウンザリだ。
(こんな場末の路地裏ブログでも目が光ってるしな ヽ(`Д´)ノ )

糸数慶子さんが昨夏の参院沖縄選挙区で、社民・共産・民主・国民新・社会大衆の
共闘で、統一候補として、自公推薦の現職・西銘さんを下した時の熱気を思い出す。

それに先立つ参院沖縄選挙区補選でも、低投票率で自公に泣かされたとはいえ、
狩俣さんを社民・共産・民主・国民新党・社会大衆の推薦で立てた。

やればできるよ。あとは、やるかやらないか、その勇気だけだ。

そうそう、新社会党がらみの怨讐(おんしゅう)は捨てて、
9条ネットも仲間に入れてよね。


ビンボー人の決戦は衆院総選挙。

 手にしたその一票のセイバーで、明日を切り開け。

  日本国民、マジで排水の陣なんだからさあー。



* 豆知識:
カシの森なんか中央ヨーロッパにいくらでもあるじゃねーか、
ていうのはカン違い。OAK(英語以外でこれに相当する語も同じ)
には落葉樹のナラやクヌギの意味もあり、中欧に広大な森を
作ってるのは主にナラ。
ピノキオも、タツノコプロの名作リメイク版「樫の木モック」も、
実はナラの木で彫られている。

それにヨーロッパでは15〜18世紀に各国の軍備拡大によって
(軍艦など)広葉樹を切りすぎてハゲ山になったのを、
せっせと人間が植林して回復した地域がほとんど。
樹種が単一で、自然の多様性は失われてしまった。
(日本もスギばかりになったせいで水害・土石流が多発してる)
高尾山は基本的に自然林で、北面にはブナの巨木の原生林も残る。

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posted by Francisco at 00:42| Comment(3) | TrackBack(11) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月11日

新トムとジェリー

おもしろうて やがてかなしき トムとジェリー

luminescentcat.jpgbravemouce.jpg
    目じゃなく皮膚が光るネコ。            ネコを怖がらないハツカネズミ。



遺伝子は分子でできた機械だからね。

人間でも同じかな?

出来るに決まってる。

一度でいいからやってみたい。

妊娠21週目までなら、うまく「処理」できるかも。。。


この誘惑に負ける者は、いつか現われる。

勝手な形質を発現させた子供を作るのはマズイとして、
本人が同意すればオトナにどんな遺伝子改変を施してもいいのか?

倫理のガイドラインづくりが、現実に追い付かない。

法整備を政・官・財・学で論議しないのか?そして宗教家・思想家は?


どんな組織にでも分化できる万能細胞(iPS細胞)を自分の
体細胞から作れば、拒絶反応なしに移植治療ができるし、
ES細胞のようにヒト受精卵も犠牲にしないから倫理的障壁も低い。
国も「お家芸」として本格的にバックアップして行くと政府が発表。
再生医療の未来はきっと明るい。

重度の病に苦しむ人が、遺伝子治療で次々助かるようにもなるだろう。
ベクター(ウイルス等)に仕込んで患者に感染させればいい。

でも、同じ技術の合わせ鏡の狭間を、悪魔が横切る24時。

どうして日本では、こうした論議が表舞台に出ないんだろう。
カネに換算できないものは、無かったものとして切り捨てられる。

年末、リアルに怖かったニュースでした。
 
 →韓国慶尚大学、遺伝子操作で夜光クローンネコの製作に成功(Technobahn:071217)

 →もうネコなんか怖くない、遺伝子操作でネコを怖がらないマウスの製作に成功(Technobahn:071213)

080121追記:
ネイチャーには、遺伝子操作的手法を使って
嗅細胞で出来た組織(嗅球)の一部を取り除いた、
と発表しているのに、Newtonの2008年2月号の記事では
単に「除去」と書かれ、遺伝子操作で組織の発生をノックアウト
した事には触れられていない。

単に書かなかっただけなのか。でも、科学と技術の先端を
アマチュアの科学が好きな読者に届けるのが主眼なら、
これを書かないのは、ちょっと舌足らずのような気がする。
遺伝子操作技術が、脳や神経組織の発生をコントロールできる
レベルに入り始めた事を書くと、何かまずい理由でもあるのかね。

発行元のニュートンプレスは、「トレーニングペーパー」でおなじみ
キョーイクソフト(旧・教育社)の関連会社。
様々な資格試験の学習資料を扱ってるから、官庁や、
官に近い各種の団体との良好な関係はとても大切だろう。
でも、読者ではなく、「お得意様のために良かれと思って」
編集にバイアスが掛かってるんだとしたら、ちょっと悲しい。。。
科学の知見は、常に中立でないとね。
竹内均さんが立ち上げた時から、好きな雑誌の一つだっただけに、
思い過ごしである事を祈りたい。。。
posted by Francisco at 01:59| Comment(0) | TrackBack(3) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月26日

「京都」の名が泣いている。

政府は12/24に出した2008年度政府予算案に、
洞爺湖サミットでカッコよく見せるための農水省関係予算、
『日本型バイオ燃料生産拡大対策』を約80億円盛り込んだ。

農水省:平成20年度農林水産予算主要施策別概算決定の概要
  V 地球的視野に立った資源・環境対策の推進(071224)


 「地球環境問題への積極的貢献のため」

 「自給率の低い日本だから、食べられない稲ワラや間伐材等を
  バイオマスとして有効活用、国産バイオ燃料の大幅な生産拡大をガンバる」

のだそうだ。
確かに一見 「うちゅくちい星ちゅくり(byしんぞう)」 。

政策目標としては、2030年頃に600万キロリットルのエタノール生産を目指し、
そのうち180〜200万キロリットルは草本系(稲ワラ、麦ワラ等)から作ると。

農業情報研究所の北林寿信様が、早速この対策の欺瞞を指摘されている。
08年政府予算案 バイオ燃料生産に稲藁全部?
  その上大量の堆肥にも!(農業情報研究所様:071224)


目を通して、カラダの力が一気に抜けた。
農業情報研究所様、座布団10枚です!

○180万―200万klのエタノールを作るのに必要な草本系原料(※)は857万トンから952万トン。
 (算出式は上記農業情報研究所様のリンク参照)
 この大部分は稲ワラが占める。

○農水省はポスト京都議定書にもう一つの目玉、「農地でカーボンニュートラル」を盛り込むつもり。
 12/12の同省試算では、全国の水田に10e当たり1トン、畑に同1.5トンの堆肥を投入すれば、
 京都議定書による日本の温室効果ガス削減目標の1割、年間220万3000トンの炭素を固定できると。
 (化学肥料の高騰具合にもよるけど、生活ギリギリの農家の方は対応できないだろが)

○一方、現実の田んぼと畑にそれぞれ10アール当たり1トン、1.5トンの堆肥を使うには
 水田253万haで2,530万トン、畑212万haで3.150万トン、計5,680万トンが要る。(2007年の農地面積)
 堆肥ワラ原料のメイン、稲非食部は、ワラだけでなく、もみ、くず米を含めても1,469万トン(2004年)。
 麦非食部を足しても1,700万トン弱。

        ワッケ   ワッカ      ラン
        ∧_∧   ∧_∧    ∧_∧
       ( ・∀・)  ( ・∀・)   ( ・∀・)
あ、それ ⊂ ⊂  )  ( U  つ  ⊂__へ つ  っと。
       ( ( (    ) ) )     (_)|
       (_(_)  (__)_)    彡(__)

約6,500万トンのワラ等が必要なところに、原料が約1,700万トンしか獲れない。
つまり、国産バイオエタノールと国産堆肥を農水省の政策通り廻して行くには、
国産のワラが必要量の1/3にも満たない。
ウッドチップなんかそのまんまじゃ堆肥になんねーしな。。。(下記・豆知識参照)
さすがにアジア中からワラを輸入する、なんて出来ないだろうし。

ハナっから整合性の破綻してる「予算取りのための予算」のために、
またミスミス血税80億円がドブに捨てられる。
一体、何に使うんだか。。。

みんなのカネは、机上の数字ゲームよりも、農業で喰える国づくりに使って欲しい。


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※豆知識:
 間伐材など木質系の材料に含まれる、お目当てのセルロース・ヘミセルロース繊維を
 効率よく糖化・発酵させるには、これらをガッチリ接着して固めているリグニン繊維を
 分解酵素や、特殊な白色腐朽菌やオゾン等で壊さなければならない。
 要するに、草っ葉でやるより、コストもエネルギーも余計にかかり、
 これが廃材などの木クズで作るバイオ燃料の普及を阻んでいる。

 世界中で膨大に出る建材のクズで激安のアルコールが作れたら、
 バイオ燃料用作物と引き換えの、本末転倒な熱帯雨林伐採も減るのにね。
 日本はそういう技術開発こそ、世界に先駆けて国を挙げてやるべきじゃないかな。
posted by Francisco at 21:57| Comment(2) | TrackBack(2) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月13日

風の谷から

バリ島で開催中のCOP13(国連気候変動枠組み条約第13回締約国会議)で、
ポスト京都議定書の世界をどうやったらいいか、駄々っ子アメリカを囲んで
各国の思惑が世界中に渦巻いてますねえ。

そのウラで日米中はしっかりスクラム組んで、
「温暖化なんざ知ったこっちゃないが、とにかく原子力発電所でカネ儲けでい!」
ってノリで、アジア各地に数え切れないほどの原発を建てようとしている今日この頃。

そんなため息混じりの世の中に、一筋の光。おおお。
米国ポチのブレア前首相をクビにしたイギリスから、刺激的なニュースが。

イギリス沖合に7000基の風力発電タービンを設置する計画が進行中(GIGAZINE様:071212)

7000基もの風車を沖合に設置して、33ギガワットの能力を確保、
2020年までにイギリスの全家庭で使われる電力をカバーするんだとか。
ガセネタじゃなく、ジョン・ハットン・ビジネス/企業/規制改革大臣が表明。

Wind turbines 'could fuel all homes by 2020'(Daily Mail:071211)

この洋上風力発電所で、「2020年までに20%を再生可能エネルギーに」
という厳しいEU目標を達成する計画。

イギリスの「影の内閣」の通産・貿易相といわれる、保守党のアラン・ダンカン議員も
BBCのインタビューで言ってるそうだ。

「我が国は島国ですから、風ならいくらでもあります。」
「我々は洋上での発電の可能性を利用すべきなのです。クリーンで安全なのですから。」
ダンカンさんはゲイである事をカミングアウトして正々堂々と戦ってる事でも有名。

一にも二にも、まず節電。

そして「バイオ燃料ビジネス」でも「原発利権」でもなくて、太陽と風の恵み。

森を切って泥炭地を焼いて放射能撒き散らして、何が環境対策だと言いたい。

海洋環境への影響の抑制、発電設備の建設・保守の莫大なコストをどうやって支えるのか、
電気がバカ高くならないように財政の力でコントロールできるのか、
など課題は多そうだけど、まず夢の大風呂敷を広げて、国民を鼓舞するのが大事。

悪口いうのはカンタンだ。口に出しただけでもエライと思う。
数十年後に石油が枯渇するのは、子供だって全員知ってる。
グリーンピースも記事の中で言ってるけど、
勇気を出してみんなが発想を転換すれば、原発減らせるかもしれないよ。
子孫が可愛かったら、まずやってみなって。これ大事でしょ。

壁にぶつかったら国際協力で乗り越える。
そうすりゃ技術の国、日本の出番じゃないの。
尊敬されるよ。世界中から。

以上、一足早い「風の谷」からの便りでした。
ナウシカの世界では残念ながら核戦争が起こってしまいましたが。。。


追記:12/12、バリ島で会見した小野寺副外相は、
「来年の洞爺湖サミット議長国として、ロードマップの実現に向けて役割を果たしていく!」
って日本国内向けに、オオミエ切ったそうだね。
  ↓
どの口が言ってんだか。。。
会議の現場では世界中にヒンシュク買ってますけど。どーフォローすんのよ ヽ(`д´)ノ

  COP13 数値目標削除を日本が支持(北海道新聞:071213)

 もいっちょ  日本「原子力 対象に」
          COP13バリ会議 クリーン開発メカニズム(京都新聞:071206)


『うちゅくちい星ちゅくり』って、まだやってたんだ。。。

「続きを読む」に各紙の記事を貼っときます。
Daily Mailは原文ママですが(^^;

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posted by Francisco at 09:05| Comment(2) | TrackBack(2) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月21日

生き残るために8・温暖化のウソ?

社会派ブロガーの間に「CO2で温暖化は起こるのか」論が広がっている。

地球温暖化のメカニズムは解明されていないんだよね。
そんなの、当り前か。
惑星規模の複雑系が簡単にシミュレートできるはずない、と思う。

それにしても、このごろのネット上での論議はにぎやかだね。
正しい知識を追求したい、ってのは自然な欲求だ。
それに温暖化だけ騒いでれば、ヒトは安泰なのか、とも思う。

「CO2だけが温暖化の犯人じゃない」

「地球規模の現象にヒトが大きな影響を与えられるワケがない」

「CO2は温暖化とは無関係」

「原発・排出権ビジネス・バイオ燃料推進の口実にすぎない」

「温暖化の原因は人類にはない」

「アル・ゴアも財界の手先」

「温暖化自体が真っ赤なウソ」
 。
 。
 。

大いに意見を交換し、論戦を楽しむのはいいことだ。

でも、このネット世論の流れって、「温暖化」論議を超えて、
ヒトの生息環境を持続させるための、最低限のモラルの
否定を誘導するのに便利なだけに、なんか不安。。。

「アカの連中(市民派ブロガーの蔑称)でさえ言ってるじゃん。」
「やっぱ排出規制なんか関係ねーぜ!経済発展が一番!」って。

温暖化が進行しているとして、
酸化窒素・フロン・ハロン・メタン・水蒸気の影響度合いはどうなのか、
太陽活動のリズムの影響、太陽と地球の距離の変動、
地球のコア・プルーム・マントルの活動、磁極の逆転が近いとか、
火山活動(噴出物)と雲の生成量の関係とか。。。

数え上げれば諸説きりがない。

生命圏の環境変動の要因は、余りにも複雑で、
色々な科学領域の知見にまたがり、自分には正直言って手も足も出ない。
論争できるレベルにもないくせに、科学に詳しいフリをする気もない。

確かに「CO2だけ抑えればバラ色の未来」って煽るマスコミには
「バカ言え、情報操作するんじゃない」と腹が立つ。
大自然はそんなに単純じゃないだろう。

だけどさ。素朴なギモンが沸き起こる。


  「予防原則」って大切な概念じゃないのかな。


キッチリ科学的に因果関係が実証されてなくとも、
ヤバいことの原因になりそうな因子は、まず規制しとく。
倫理(ひとのみち)の問題として...続きを読む
posted by Francisco at 08:09| Comment(7) | TrackBack(25) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月12日

日本のカエル、やっぱりピンチです(;_;)

既に去年ツボカビ菌の上陸が確認され、初夏には野生のウシガエルから菌が検出された
というのに、ビックリするほど注意をうながす報道がないキレじるし
人の暮らしも置き去りの国だからアタリマエか。。。

麻布大学(神奈川県相模原市)で11月10日開かれた、「無尾類とカエルツボカビ」というワークショップの中で、最新の病理実験の結果が報告された。
(爬虫類と両生類の臨床と病理の研究会 第6回ワークショップ)

日本の健康な野生のカエル数種・100匹を、ツボカビ菌のいる環境に曝露したら、
47日間で17匹が死亡。
今の時点で、ヌマガエル3匹とコガタハナサキガエル1匹の計4匹が、
ツボカビ症と確認。

ヌマガエル:西日本全般にいる、割とポピュラーなカエル
コガタハナサキガエル:石垣島、西表島の絶滅危惧種

これからの研究の進展を見る必要があるけれど、絶滅危惧種が弱いとか、
どこにでもいる種は強いとは言えなさそう。

コガタハナサキガエルは、外来種にニッチ(生活圏)を奪われてるのが
現在の危機の主な原因らしいし、
ヌマガエルは温暖化の影響なのか、トノサマガエルが
いなくなるのと反対に、ドンドン生息域の北限が上がってるしね。

何度も書いてるけど、注意をまたしつこく書いとく。
この国のかけがえのない自然を守れるのは、この国の国民だけだ。

+ 発病した、または疑いのあるカエルは絶対に屋外に放さない。獣医と連携を取り、
  最期まで飼い主が看取る。

+ その飼育水をその辺に捨てない。

+ 病死したカエルの死体は焼却するか、ポリ袋(簡単に破れない丈夫なもの)に密閉し
  自治体の生ゴミに出す。絶対その辺に捨てない。
  かわいそうだけど、お墓を作って埋めるのはもってのほか。

+ 野山を歩いた服やトレッキングブーツ等は、必ずよく洗って、靴底は消毒してからから使う。
  (これすごく大切)

+ 輸入種の両生類は、一定の検査期間を置いて防疫上の安全が確認されたものしか飼わない。

+ 熱帯魚や爬虫類のエサ等で、やむを得ずウシガエルのオタマジャクシとか、
  アフリカツメガエル等を入手する時は、必ずルートと検査の履歴を確かめて買う。



(以前のエントリはこちら

 →カエルとトリとヒトの仁義

 →カエル、嫌いですか。



参考記事
国内在来種、初の発症例 カエル・ツボカビ症(asahi.com:071112)

(引用開始)
 両生類の世界規模の激減に関係しているとされるカエル・ツボカビ症は、国内の在来種のカエルにも死に至る症状を起こすことを、麻布大獣医学部などのグループが初めて実験で確かめた。神奈川県相模原市であった研究会で10日、松井久実・同大講師が発表した。

 野外で捕まえた健康なカエルの水槽に、ツボカビ症のカエルを飼った水を入れて変化を調べた。実験開始から47日目の10日までに100匹のうち17匹が死んだ。ヌマガエル3匹とコガタハナサキガエル1匹の計4匹が、ツボカビ症を発症していたことを病理学的な検査で確かめた。

 国内では昨年12月、ペットの外国産カエルで初めてツボカビ症が確認された。今年6月には野生のカエルとして初の感染例が、外来種のウシガエルで報告された。

 ただ、カエルの種類によっては感染しても発症しないことがあり、国内の野生のカエルに対する影響は、わかっていない点も多い。宇根有美・同大准教授は「野外での発症例や大量死はまだ見つかっていないが、カエル・ツボカビが広がらないよう、引き続き警戒が必要だ」と話している。
(引用おわり)
posted by Francisco at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月08日

台湾の地震と柏崎原発

台風9号が東日本を襲った夜、お隣の台湾では大きな地震があった。

 →台湾北東部でM6.6の地震 沖縄・与那国島でも震度3(asahi.com:070907)

9/7の夜中の2時前、北東部の宜蘭県沖合でマグニユード6.6。
幸い死傷者の報告はないようだけど、多くの住宅が倒壊・損傷してるそうだ。
余震も続き、台風と同じく、被災地の方はショックと悲しみに
打ちひしがれていることだろう。
両国で被災された方にお見舞い申し上げます。

ところで、台湾北東部って言えば。。。

地図で見ると宜蘭県北部は、2箇所の原発がある台北県北部に接している。
原発は大丈夫かなあ。
柏崎の事が頭から離れない。

台湾は原発の是非をめぐって国がゆれ続けている。

この7年の言動不一致と閣僚の裏金スキャンダル祭りで、
いまや政権の命運は尽き、アベっち状態になってる陳水扁総統。
2000年就任した彼の選挙公約の目玉は「原発廃止」だった。

そんな中の2001年、1988年以来凍結と再開を繰り返して、
2000年に再び止まってた第4発電所の建設が再開された。

なんと日本の政財界が国策として売り込んだ。日本政府は
東芝・日立・三菱重工・清水建設に「米GEの下請け」の形をとらせ、
当時すでにトラブル続きだった柏崎・刈羽6・7号炉と同型
改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)2基を売った。

おまけに、その建設地には断層があり、
過去に大地震が起きている事が分かっている。


 柏崎ソックリの立地で、同じ形式のプラントを建設。。。
 しかも、人さまの国で。。。

 070910追記:
 気になって検索したらナンと、第4原発の目の前の海に70箇所以上の
 海底火山があり、そのうち11箇所は活火山であるらしい事が、
 2000年の段階で科学者グループの調査によって警告されている。
 あきれて開いた口がふさがらない。
 →
台湾第四原発の近くに海底火山
  (ノーニュークス・アジアフォーラム通信:020620)


結局、陳総統は日本のカネに押され、母体の民進党自体が反対してる
核電(原発)推進を止められなかった。
国のトップである以上は、どうイイワケしようが、彼がGOを出したワケだ。

既存の3箇所(2基づつ合計6基)の原発は、軍政時代に国民党が
戒厳令下で建設してしまい、反対もクソもなかった。
この3箇所の発電所については、膨大な数の被曝事故や
健康被害が起き続けてるけれど、ずっと見殺しにされて来た。

権力者と大企業に国民の命が差し出される。
日本やアメリカ・イギリスの原発と同じ図式だ。

第4原発の建設再開は、初めて民主化を実現した陳水扁総統のもとでの
話だったから、国民の失望と怒りもハンパじゃなく大きかった。

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posted by Francisco at 13:18| Comment(2) | TrackBack(6) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月21日

生き残るために・7 CO2は無罪かよ?

北極の氷が夏になると消えちゃうのが2070年、という予測は30年以上早まり、
今世紀前般の2040年ごろってことで修正されつつある。
暑すぎる夏、北極海の氷の融解も史上最速で進行(Technobahn:070814)
事実、この30年弱で北極圏の平均気温が4度も上がってるし。
温暖化が進行する地球(Technobahn:070514)
もうホントに手遅れになり始めているのかも。
(前回の記事はこちら→生き残るために・6 いま起きていること)

インド・バングラディシュ・ネパール3ヶ国で2ヶ月続いている洪水。
亡くなった方が2500名を超えたと国連が発表した。想像を絶する惨状。
地球規模での気候の変化は確実に進んでいる。
ヒトの活動が空気と水を温めてるのは間違いない。これは人災だ。
なんだか無力感に包まれて空しくなってくる。

そんな中、アメリカがこのごろ中国と手を取り合って、
「CO2排出を減らすと経済の成長のジャマだから、減らすのやーめたっと。」
「CO2を出しながら、科学技術の力で温暖化を止めるのがベストなんだぜー。」
っていう、トンデモないキャンペーンを始めた。

日本の経団連・経済同友会あたりは大喜びで反応してることだろう。
カネの掛かる温暖化ガス抑制なんか、やりたくないに決まってるから。

タイミングを合わせるように、東大名誉教授の月尾嘉男(つきおよしお)さんが
テレビ・ラジオの報道番組に出まくって展開してる環境問題の話
が気になる。

月尾さんは建築畑からIT分野に研究フィールドを広げ、
このごろは「ITの伝道師」とか「知の巨人」と宣伝され、「ITと環境」の視点から
地球規模でインフラ整備を説いた本やテレビ番組が世間に向けて次々発信されている。
2002年1月〜2003年1月には総務大臣の御意見番として省の審議官も1年間勤めた。

そんな月尾さんが、お盆の時期に経団連(日経)の宣伝ニュース、
「ニュースモーニングサテライト」(テレビ東京系)に連日出て、
「CO2よりも気候の自然変動の影響の方が大きいと言われてる」
「気温の上昇の第一原因がCO2等の温暖化ガスとは限らない」
って盛んに主張していた。

8/17の報道ステーション(テレビ朝日系)でも古館さんを相手に、
ゲストコメンテーターとして語っていた。
このときは「1万年で人類の出すエネルギーは10万倍になった」
ってフォローしてもいたけれど、
温暖化ガスを出さないように国際社会が協力せよという、
今や待ったなしの課題は、あえて正面に出さなかった。
昨日8/20の報ステでは古館さん自身がスイスのローヌ氷河を
ナマ中継し、恐ろしい勢いで消えて行く氷河に絶句していた。
彼自身、机上の空論がどんなに無意味なものか実感できたはずだ。

さらに、TBS−CS放送のニュースバードに「ドクター月尾・地球の方程式」というコーナーがあり、
連日、いろんな学者の意見を取り上げ、CO2の影響についてボカシている。
放送は見てないが、HPで番組紹介を見る限り、ウームな内容だ。
(TBS・JNN系地上波の早朝や、BSデジタル「BS-i」でも時間帯により視聴可)

 (8/14)地球温暖化の主因は二酸化炭素ではなく、太陽からもたらされるエネルギーと、
    地球から宇宙空間に放射されるエネルギーのバランス
 (8/15)二酸化炭素による温暖化が原因ではなく、数十年ごとに繰り返されるサイクルのひとつ

 (8/16)現在のような数度の気温上昇が生態系などに脅威的な被害をもたらすと考えることは、
    過去の歴史的な事実から考えると考えにくい
 (8/17)地球は温暖化しているのか、寒冷化しているのか、また温暖化しているとすれば
    その原因は何によるものなのか、これらについは諸説あり、
    分からない事は多く残されています

そりゃ、気候の自然変動は当然あるし、小学生だって氷河期と間氷期が
繰り返されるみたいな話は知ってるって。
大切なのは、温暖化がヒトの活動で早まってるのは事実であり、
それを押し留める努力をみんなに訴えるのが、
社会的に影響力ある人の最低限の義務だ
ってこと。

月尾さんには、十数年前に仕事の打合せでお会いしたことがある。
大好きなカヌーと大自然を語る時の少年のような目と、
周りへの細やかな気配りが印象的な、爽やかな方だった。


シガラミってやつは人間を否応なく変えて行く。
自分の研究室だって、関係するシンクタンクだって食わせなくちゃいけない。
世話になってる企業に仕事を作ってあげなくちゃいけない。
だけど、そこまで政財界の御用学者になったかと思うと悲しいな。。。

ネオリベ政権と財界は、温暖化とCO2の関係を、世間の目から隠す作戦を
始めたのかもしれない。
「違うだろ?」って言われれば、「じゃ、原子力で。」ってやるんだろうか。

今後、野党が騒がない限り、温暖化とCO2の関係については急速に報道されなくなる
可能性も考えられる。

永田町は海抜24mだから、しばらく沈まない、ぐらいに思ってるのかしら?

「権威」の言ってることは、一通り疑ってかからないと危ないね。
ウチのパソコン部屋、引き続き節電中です。すげー暑いっす。

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ラベル:温暖化 月尾嘉男
posted by Francisco at 07:07| Comment(4) | TrackBack(17) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月12日

カエルとトリとヒトの仁義

とうとう日本でもツボカビ菌を持った野生のカエルが見つかってしまった。
カエル達のつぶらな瞳を思うと泣きたくなる。
日本の両生類が大量絶滅の秒読みに入ったのだ。

6月10日に開催された「カエルツボカビフォーラム2007」で、予備調査結果が報告された。
昨日6/11、各TVの夜のニュースで知った。何とも危機意識のない無策な行政にムカつく。

昨年末、上陸阻止に失敗。(大して話題にもならず)

今度は封じ込めに失敗。(ってか、経済に影響あり、って言われるまで気にしてなかった)

NHKの大本営WEBなんか、半日でページを削除してる。自民の票田:農家に知られると怒られるからか?

緊急事態だよ。取り上げるの遅すぎ。
いまスグ国を挙げて手を打たないと、食物連鎖のリングが切れて、日本の生態系はボロボロ
カエルの害虫駆除能力にたよっている、有機農業のかなりの部分が存続不能になるかも。
昔みたいに農薬漬けのお米や野菜を食べたいですか?これは誇張じゃない。

カエルツボカビフォーラム2007を開催!(WWFジャパン:070611)
神奈川県で見つかった4匹の感染ウシガエル。
ウシガエル(外来種)は、ツボカビ菌が感染しても発症しないので、キャリアとして周りに菌を撒き散らしてたと思われる。
病原体が屋外環境に出ちゃった以上、もう根絶は難しいだろう。
予備調査で出たって事は、もうスゴイ勢いで広がってるってことだよ。

環境省は、夏から本ちゃんの実態調査とかノンキなことを言っている。
ペットショップの輸入カエルから菌が見つかってから、半年もあったじゃない。
去年の段階で国民に感染防止対策をすぐ告知して、協力を呼びかけなかった責任は重い。
上に立つ人たちは、ことの深刻さが全く分かってない。

+ 発病した、または疑いのあるカエルは絶対に屋外に放さない。獣医と連携を取り、
  最期まで飼い主が看取る。

+ その飼育水をその辺に捨てない。

+ 病死したカエルの死体は焼却するか、ポリ袋(簡単に破れない丈夫なもの)に密閉し
  自治体の生ゴミに出す。絶対その辺に捨てない。
  かわいそうだけど、お墓を作って埋めるのはもってのほか。

+ 野山を歩いた服やトレッキングブーツ等は、必ずよく洗って、靴底は消毒してからから使う。
  (これすごく大切)

+ 輸入種の両生類は、一定の検査期間を置いて防疫上の安全が確認されたものしか飼わない。

+ 熱帯魚や爬虫類のエサ等で、やむを得ずウシガエルの子供とか、
  アフリカツメガエル等を入手する時は、必ずルートと検査の履歴を確かめて買う。


(以前のエントリはこちら→カエル、嫌いですか。

でも前から兆候はあったんだな。気付いてアラームを鳴らす人がいなかったんだろう。

↓トンビが油揚げさらう被害が各地で多発中。この報せにピンと来たので、イヤな予感がした。

 →トビの襲撃、各地で多発 死角から襲い、けが人も(asahi.com:070610)...続きを読む
posted by Francisco at 13:10| Comment(4) | TrackBack(9) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月02日

「美しい星」の炉心部で融ける命

アベ政権が今月(6/6〜6/8)ドイツで開かれるハイリゲンダム・サミットでぶち上げようとしてる「美しい星50」構想。
これっていったい、どこの星?

「2050年までに全世界の温室効果ガスの排出量を現状から半減」って何をどうするのかな?
CO2より桁外れに強力な温室効果ガスの、代替フロンや、メタンはどうするのかな?
具体的なロードマップがないし。
だいたい、比較の基準は「現状」じゃなくて京都議定書ベースの「1990年時点」じゃなきゃウソでしょ。

もう温暖化対策は、そんなに待てない。ここ数年が勝負なんだよ。

日本は来年2008年までにCO2排出を6%減らす約束さえ果たせてない。
8%増えて結局14%プラスになってる。(2005年時点で)
その上17年間に増えた8%分までゴマカそうとするなんて。
まず京都での約束を守って見せるのが先じゃないかしら。
「一番ついて来れない国」のための猶予期限の2012年までに6%達成できないとバカにされるよ。

070615追記:アメリカのゴリ押しで、具体的なロードマップが作れないままサミットは中途半端な「美しい星50」の内容で合意しちゃった。
アベさんだけは大成功だとカン違いしてるみたいだけど。

そのバータで、同じサミットで外資の日本企業乗っ取りにOKのサインさせられた事は、どのメディアもほとんど報じてない。
これひどすぎ。
「秋の三角合併祭り」と「外資からの大量政治献金」で庶民は一層ボロボロになるぞー。


それに、あなた達が言うべき相手は、EUじゃないよね。
直接に問いただす相手は、アメリカ・中国・インド・ロシア・ブラジルですよね。

マジでやる気があるんなら、サミットじゃなくても、個別に日常的に折衝しようぜ。
他の国と較べるのは良くないかもしれないけど、ドイツや北欧諸国みたいにさ。

「お前ら甘ったれてねえで、俺について来やがれ。」って。カッチョイイー。

きっとサミットでは、
「見て見て。ボクも原発で温暖化対策〜。すごいでしょ! ねえねえ、見てってば〜!!」
って、やるんだろうな。
考えただけで今からガッカリしちゃうよ。 ε-(ーдー) ハァ ...続きを読む
posted by Francisco at 10:35| Comment(0) | TrackBack(9) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月18日

生き残るために・6 いま起きていること

こ、怖すぎ。。。
政治の不穏な動きに気を取られてた陰で、温暖化はとんでもない勢いになり始めてた。

2006temperature.jpg

 →温暖化が進行する地球(Technobahn:070514)

新聞もテレビも一番大事なことは何も伝えてくれない。これを情報鎖国と言わずして何て言うんだよ。
NASAによると、1951年-1980年の地表温度の平均値と比べて2006年がどうなったか。
北半球、特に北極圏が激ヤバだ。北極付近は4℃近くも上がっちゃった。
白い氷が解けると北極海の海面がむき出しになって太陽熱をグッと吸いやすくなる。
そのせいでアルベド(地球表面全体の反射率)もグッと下がって温暖化が加速している。

厚さ3kmの氷に隠されて地表の温度上昇が分かりにくい南極も、実は大変なことになってる。
 →NASA、南極で大規模な積雪の融解を発見・総面積は米カリフォルニア州に匹敵(Technobahn:070516)

物理的な面で見ても気候の異常はもっともっとひどくなるだろう。
海辺の標高が低い都市や、小さな島国は、嵐や津波のたびに今以上の打撃を受けるだろう。
ちょっと長めの記事になるけど、とても大事なことなのでぜひ最後まで目を通してください...続きを読む
posted by Francisco at 08:59| Comment(2) | TrackBack(1) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月26日

まだ見ぬ兄弟たちへ

やっと見つけた! 地球みたいな惑星。
イヤな報せばかりが飛び交う今日この頃ですが、久々にココロが大空に拡がるようなニュースです。

ヨーロッパ南天天文台、地球から20光年の彼方に地球型の惑星を発見(Technobahn:070425)

あっぱれ、ヨーロッパ南天天文台(ESO:European Southern Observatory)チーム!
(今回観測に使ったESOのラ・シヤ山観測所La Silla Observatoryは、南米チリにある)

地球からてんびん座方向、20光年にある赤色矮星「グリーゼ581」の周りを13日周期で公転。
半径は地球の1.5倍、重さは約 5倍と推測。

で、何より興味をそそるのは、表面温度が0〜40度前後の可能性がある事。
重さと密度から言って、ガス惑星(木星・土星型)じゃなく、岩石惑星(地球・火星型)みたい。
恒星は質量が軽い星ほど寿命が長く、赤色矮星の場合は理論上、兆の単位とも言われる。
太陽クラスの恒星は100億年で死んじゃう(いま50億歳)のと比べても、生命を生み育てる時間尺度は申し分ない。
もしこの星に大気と水があれば、液体の水が存在するかもしれない。
ひょっとして水と炭素を代謝する生命が … なんて思っただけで夢がふくらむなあ \(^^)/ 続きを読む
posted by Francisco at 21:16| Comment(1) | TrackBack(1) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月22日

生き残るために・5 ― 究極の選択

鳥肌が立っちゃった。ついにここまで来たか。
ノルウェーが4/19、CO2など温室効果ガスの排出を2050年までに「ゼロ」にする壮絶な目標を表明。

 →ノルウェー、50年までに「CO2ゼロ」表明(asahi.com:070420)

ストルテンベリ首相は「温暖化防止策づくりを先導する」ということで連立内閣の支持も取り付け、他の主要先進国にも「ゼロ」への同調を呼びかけている。
6月のG8サミットを前に議論を刺激する狙いもありそう。

自国での削減に加えて、足りない分は中国やインドなどで風力・太陽利用を進めて自国分から差し引いたり、他国で余った排出枠を買い取る「排出量取引」の仕組みも活用する。
京都議定書方式をパワーアップして、新しい温暖化防止策の世界モデルを作ろうとしてるんだね。
2020年には1990年に比べて30%減らし、50年までにゼロにする。

今の枠組みにさえついて行けてない日本やアメリカ、BRICsには、これから大きなプレシャーになるだろう。
(京都議定書について→生き残るために・3

ノルウェーは産油国でもあるから、温暖化の原因を輸出するなって言ってる環境団体もあるそうで、責任の重さも考えてるんだと思う。

目先の快楽と引き換えに破局をとるか、痛みをこらえて最後にみんなで笑うか。
世界中の一人一人が究極の選択を迫られてる。
温暖化対策はもう待ったナシだよ。

ところでどのメディアも「ストルテンベリ」じゃなく「ストルテンベルグ(ベルク)」って書いてる。
日本ではスウェーデンやノルウェーの人名をドイツ語読みしちゃうのはなんでだ ??(・・)ゞ
posted by Francisco at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月20日

見に行かないという選択

世界遺産の登録には「文化遺産」と「自然遺産」がある。
ガラパゴス諸島やギアナ高地は自然遺産の代表といえる最後の秘境だ。
いや、正確には「秘境だった」。

 →「世界遺産の光と影 Vol.1」
〜 ギアナ高地の悲鳴〜 (テレビ朝日「素敵な宇宙船地球号」過去ログ:060305)

1994年に自然遺産に登録されて以来、登山道ができたテーブルマウンテン:ロライマ山では、平地の植物が急速に入り込み、水系も汚染されて、既存の生態バランスが危機に瀕している。

 →ガラパゴスの生態系が危機 外来種や観光客の影響で(西日本新聞:070420)
国際自然保護連合(IUCN)と国連教育科学文化機関(ユネスコ)によると、1978年に自然遺産第1号になったガラパゴスだけど、定住者の持ち込んだイヌ・ネコ・ネズミ・ヤギなど外来動物、さらには観光客が持ち込んだ外来植物などが各地で繁殖、固有の生態系がボロボロになってるそうだ...続きを読む
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2007年04月19日

ミツバチ行方不明 ― 続報

突然ミツバチがごっそり消滅するという、例の気色悪い事件。
いつの間にかアメリカだけじゃなくドイツ、スイス、スペイン、ポルトガル、イタリア、ギリシャなどのヨーロッパ諸国でも深刻な事態になってるとか。
ミツバチを含めてハナバチ類全体にこれが起きたら、虫媒で受粉する植物相はメタメタになる。
食糧難の予感も漂って、恐ろしさ満点。

これは朗報か?→ミツバチがいなくなるナゾの現象、ドイツ人研究者が携帯電話原因説を提唱(Technobahn:070417)

ケータイなど電子機器の電磁波(*)がミツバチの方向感覚を狂わし、巣に戻れなくて死んじゃうんじゃないかと考えて、健康なミツバチの巣の近くにケータイを置いたら、ミツバチが巣に帰れなくなくなっちゃったそうだ...続きを読む
posted by Francisco at 01:06| Comment(0) | TrackBack(0) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月17日

サイバー生活の落とし穴

今の暮らしって、技術がちょいとばかし過信されてませんか。
ネット犯罪ばっかり話題をさらってるけれど、ハードウェア自体にも危険は潜んでる。

所詮はただの機械。ヒトが作ってヒトが使うんだもの。ミスもあれば故意もある。
あちこちに、今までは想像もしてなかった落とし穴が大きな口をあけて待ってるよー。

☆通信衛星を「タミルの虎(*)」というテロ組織がクラッキングして不正に自分たちのプロパガンダ放送を飛ばしてるらしい件。
 →テロ組織が通信衛星を不正使用、インテルサットが異例の警告(Technobahn:070413)

地域紛争もドンドン頭脳戦に。これはマネする人が増えてイタチごっこになりそうな予感。


☆火星探査機がどっか行っちゃった件。
原因はナンと→火星探査衛星マーズ・サーベイヤー、衛星喪失の原因はソフトのアップデートのミス(Technobahn:070414)

せっかくバックアップ用に全てのシステムを2重にしてたのに、メインコンピュータのソフトを間違えて同時にアップしなかったせいで不調に。
そのあと、直そうとしてまた間違ったソフトを入れちゃったために致命傷になったとか。
あれれ、これってどこかで聞いたような...続きを読む
posted by Francisco at 20:54| Comment(0) | TrackBack(0) | サイエンス・環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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